聖夜の営み。

米太郎

第1話

 むかーしむかし。


 あ、間違えちゃった。


 今宵こよーい今宵こよーのことじやった。

 とある街、東京というところに、おじいさんとおばあさんがおった。


 おじいさんは、街へプレゼントを配りに。

 その付き添いのおばあさんは、フラフラと街を歩いていた私のところへ来たのです。



 そして、言うのです。

「今夜は、小さい子供を家に一人にしてしまっている。私たちにはプレゼント配りという使命があるから、どうか子供を見ていて欲しい。あなた好みの可愛いショタだから」


 なんと驚いたことに、おばあさんには、私の性癖がバレていたのです。

 おばあさんは私に、家までの地図が書かれたメモと鍵、そして、薄い本を数冊渡してきました。


「メリークリスマス」


 渡された薄い本の表紙には、お姉さんとショタが描かれていました。

 私くらいのレベルになれば、表紙を見ただけでわかってしまいます。


 これは、良作。



 今日はクリスマス。

 たまには、人助けをするのも悪くないと思った私は、地図に書いてある家へと向かうのでした。

 薄い本は、大事に懐へと閉まって。

 ショタの容姿を妄想しながら。


 ◇


 高田馬場にある、ボロいアパート。

 昔、私が下宿してた時でさえ、まだましな物件があったと思うよ。


 こんなところに可愛いショタ……、いえ、子供を一人で置いていくなんて、おばあさんたちはどうかしているよ。

 ショタが可哀そう。


 私は、メモにある通りの家へと来て、渡された鍵を使ってドアを開けた。


「おじゃましまーす。おばあさんに言われて、やってきたものですー」


 部屋の中は、物が少なくて意外と綺麗だった。

 狭いワンルームといった間取り。

 風呂トイレも一緒だろうなという、狭さ。


 目当てのショタが見えないと思ったら、ユニットバスと思われるところから、全裸で出てきた。

 耳には、ワイヤレスイヤホン。

 そして、ノリノリで踊っている。


 こちらには、全く気付いていないようです。


「すいませーん。今夜おもりをすることになった者ですけれどもー」


 私が少し大きい声を出すと、男の子はこちらを振り返った。

 少年の全身すべてが、私の目に入る。


 ……これは不可抗力。

 ……万歳。


「ええええ! お姉さん、誰ですか!! 強姦ですか!?」


 少年は、両耳からイヤホンを投げ捨てると、大事な部分を手で隠した。


「いや、おばあさんに頼まれて、おもりをしに来たんですよ」


「ぼ、ぼくは、そんなのいらないって言ったのに。ばあちゃんー!!」


 おそらく、小学校低学年くらいだろう。

 短髪で、少し明るい茶色かかった髪の毛。


 日本とは、少し違う血が混じっているような、容姿をしている。

 かなりイケメンの部類に入るだろう。

 ……これは、かなり良いです。


 このまま、全裸でいてもらっても、私は一向に構わないですけれども。

 むしろウェルカムですけれども。


 この子に風邪でも引かれてしまっては、私の責任。

 おばあさんから薄い本をもらった恩には報いないとですね。


「まずは、服でも来てください」

「えっと、服は今全部洗濯しちゃって。洗濯が終わるまで、裸でいるしかないんだよ」


 なるほど。

 これは、不幸中のラッキー。


「じゃあ、そのままでいるしかないですね。誰のせいでもないです。むしろWin-Winです。おめでとうございます。そして、ありがとうございます」


「何を言ってるのお姉ちゃん。僕がWinじゃないよ。一人だと思ったから、裸で過ごそうと思ってたのにさ……」


「なるほど、じゃあ、私も裸になればイーブンですね。そうしたら、きっと君もWinですね」


 そうして、私とショタの聖夜が始まるのでした。

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聖夜の営み。 米太郎 @tahoshi

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