アナログ同盟
人類にはかつてデジタルもSNSもAIもなかった。あったのはアナログだけだった。今の時代にもアナログというものは存在する。それらは生き残りだ。現代の人間たちの有り様を見かねてアナログたちは立ち上がる。
「いにしえより共存してきた我らと人間を救い、『アナログ』を存続させよ。」
こうしてアナログ同盟はできた。
さて、話を戻そう。青年の部屋で時計や本、シャーペンたちが息を殺して青年を見ている。
「これでは人間がまた一人Twitterの悪魔に呑まれてしまう。」
アナログ同盟の者は知っている。
Twitterは人間の豊かな時間を燃やして金にしているということを。
天井からTwitterの悪魔が現れた。
青年に近づこうとする悪魔に向かってアナログ同盟が叫ぶ。
「悪魔、人間の豊かさを奪うのをやめろ。」
「何を言う。人間はTwitterを喜んで使って、俺に感謝までしてくれるんだぜ?第一生みの親は人間の方だからな。」
アナログたちは黙らざるを得なかった。
Twitterの悪魔の方が圧倒的に正当な理由をいくつも持っているからである。
豊かさとはあいまいで儚いものでもあるからだ。
青年はもうすでにTwitterを開こうとしていた。
悪魔は青年の後頭部まできている。
「もう終わりだ。」
皆が絶望しかけたところだった。
「待て」
時計はひらめいた。
「時間なら戻せる。」
時計は針を巻き戻した。
青年はスマホに手を伸ばそうとしているが、まだ届いてはいない。
「今だ!」
ゴーンと部屋中に響く音で鐘を打った。時計にできることはそれだけだった。
青年ははたと気づいて「いけない、いけない」と手を引っ込めた。
本もシャーペンも辺り皆拍手喝采した。
青年はしばらくして気づいた。
「僕はTwitterに依存していたんだ。」
「本当はTwitterを触らない代わりに心おだやかに過ごせるのかもしれない。」
Twitterの悪魔は焦った。
「おい、どうしてくれるんだ。俺の餌が…。」
「真実とはこういうことだ。」
本は皆に呼びかける。
「人生の時間をどう使うか。Twitterの悪魔に吸い取られてはならない。Twitterであっても、それ以外であっても、自分で考えて選択することが大事なんだ。Twitterを否定してはいない。自分で選んだ結果ならいい。しかし、Twitterには中毒性があることを忘れてはならない。」
今日もアナログ同盟たちはTwitterを眺めるあなたの後ろで
「よく考えろ!」
と叫ぶ。
Twitterの悪魔は
「おかえり。」
と耳元で甘くささやいている。
Twitterの悪魔 けいこ @keiko_04
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます