AIが小説を書く時代

 数年前までは、「AIが小説を書くだなんてSFだよ」と軽く笑える時代でした。けれど今はまったく笑えない時代となりました。ChatGPTは、実際に小説を書き始めているのですから。AI小説が人間を超えたと言われる日が、実際にすぐそこまで来ています。
 この作品は、そんな未来を舞台にした小説家、赤崎の人生を描いた短編です。自分の人生を小説に捧げた赤崎、妻の支えもあって作り上げた人生最後の小説……。この先はぜひ実際に文字を追って読んでください。
 赤崎の小説と真面目に向き合う姿が、作者の繊細で心地よい文章と重なります。そして、AIに立ち向かった主人公を、自然と応援したくなる気持ちにもなります。なぜ応援したくなるのか。それは、赤崎を作者と重ね合わせているからだけでない。赤崎は、私たち読者自身の姿を表している、だから私たちはこの小説に感動するのだ。結局私は最後まで読み、そう落ち着きました。
では、最後にお約束を。

「読め読め読め読め……」

その他のおすすめレビュー

銀野きりんさんの他のおすすめレビュー133