読んでいてかなりグッときた作品。
恐らくは社会人経験者なら誰もが共感できるのではないでしょうか?
いつまでも胸の奥に残った失恋の思い出。
忘れたいのに「その日」が来るとどうしてもフラッシュバックしてしまう悲しみ。
多忙な日々を積み重ねながら、ついつい楽しかった学生時代に思いをはせる。
そんな物は単なる郷愁。学生気分が抜けていないだけ。
そんな事をしても仕方ないのは判っているのに。つい、どうしても…。
丁寧に丁寧に順序良くグッとくるパーツを積み重ねていき、クライマックスで思いのたけを炸裂させる。言葉で言うのは簡単ですが、これをキッチリ成功させるのがどんなに難しいことか。そこに至るまでの雰囲気づくり、共感できるキーワードの数が残酷なまでに勝敗を分けるのでしょう。
どんなジャンルであれど「やりたい事がハッキリしている」作品は強い。
それを再認識させてもらいました。クライマックスに辿り着く前に勝負はもう決まっている。そこに至るまでの過程が何よりも大切で、一字一句無駄にしない姿勢こそが望まれるもの。特に短編では!
このレビューは企画「短編だけど読み応えたっぷり」の参加作品に書かれたものです。短編だからといって侮ってはいけない。むしろ短編だからこそ描ける小世界もあるのですから!
グッとくる作品をお探しの貴方へ、おススメです!