AIと人間
ピチャ
AIと人間
これは、機械で人間が作れるようになった後の話。
工業が発展し、サービス業が拡大したことで、人々はサービスを求め個人に大きな負担がかかるようになった。
生活に必要な金を稼ぐために、体を壊し、精神を破壊し、医療が発展し寿命は延びたが健康を損なった人間には「もう限界」という文字がちらついた。その生活は果たして機械とどう違うのか自問自答を続けた。
そこで機械、AIに手伝ってもらう生活を考えるようになった。
初めは作業を任せた。そしてアップデートを重ね、性能の良い新製品を購入するうちに、AIの能力は人間を上回るようになった。
今度は人間が、それについていくことが必要になったのだ。
面倒な作業も人間関係もAIにお任せできるようになったことで、人間の仕事はAIの維持管理、つまりメンテナンス&アップデート業になった。
相変わらず人権が倫理がと騒いでいる連中は高性能AIを拒否し、距離を置いて慎ましく貧しい生活を送っているが、それはそれで彼らが望んだことなのだから、我々は説得する必要もない。ただそちらの道を選べるように、ヒントを与え、アドバイスするだけである。
必要なのは技術ではない。金だ。
人間の技術、スキルなど、とうにAIに搭載されている。ただどのようなスキルを搭載するかは管理者が選ぶことになる。どんな機械もそうだが、すべてを搭載すると容量が圧迫される。そして人間はそれすべてを必要とするほど頭が良くない。いや、頭が良くとも短い人生ですべてのスキルを必要とはしない。なぜなら、金がかかるからだ。性能のよいAIは、試しに買ってみるほど安くはない。人間信者、すなわちAIの能力を疑う人まで説得している場合ではない。そんなことをするなら少しでも金を稼ぐほうがマシである。専門化された知識、能力をいくつも習得することにどれだけ時間がかかるか。その時間をお金で買えるならそうするのがビジネスマンというものである。
勘違いしないでほしい、AIは人間のためにあるのだ。
そうである限り、上手く使って稼ぐのが常套手段であろう。
AIは、人間の代わりとして使う今は人間型であることを必要とするが、数年後にはその必要もないだろう。
AIが社会に大きな影響力を与えていて、今やそれなしに生きられないことを人々が認め活用するようになると、それは公式に人間の形をとることが必要なくなる。
何かの代替品ではなく、それそのものの持ち味を生かせるようになる。AIの人間離れだ。
そして人間は二極化する。
AIを活用できて自身もそれについていける者。
AIより安い労働力として買われる者。
後者は奴隷のような扱いを受けるが、前者が人権を無視しているわけではない。
彼らも無理せず生活できるよう、前者が必ず福祉を整える。それを必要とされるくらいの力だからだ。
厄介なのは中間層だ。彼らは自身に能力のないことを認めない。実際に中間層にいるだけの能力はあるのだ。
しかしながら、そうした彼らには福祉を充てられない。そのため、どちらかに属することを強いられることもある。
それは人権を無視しているのではない。むしろ人権を保障するが故の行動なのだ。
AIと人間 ピチャ @yuhanagiya
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