第11回空色杯【500文字未満の部】

かみひとえ

ゆうしゃがもどってくるとはなさけない!

「昨日の話は無かったことにして頂きたい」


「……………………へぁ?」


 国を挙げて盛大に送り出したばかりの勇者があっさりと戻ってきた。……え、なんなん?


「魔王が超絶ロリ美少女だなんて聞いてない。あんなん心が痛すぎて倒せん」


「あ、良心はちゃんとあるタイプの勇者だ」


 というか、たった1日で魔王城までたどり着くとか、キミ、勇者としては有能なのでは?


「というわけで、魔王はうちで保護します」


「ちょっと待て。魔物に対する幼女誘拐が、我が国の法律で犯罪にならないか早急に確認したい。そして、我はどうにかしてキミを逮捕しようと考えている」


 どや顔の勇者の横で、角の生えた幼女がぷるぷる震えているじゃあないか。魔王もこんなのに拐われないでもろて。


「王様、何はともあれこの世界は救われました。これもうハッピーエンドでしょ」


「幼女がかわいそうすぎる! さすがに送り返すからその幼女をこっちに渡しなさい!」


「イヤです、僕は世界の平和のために幼女と一つ屋根の下で何一つやましいことなく暮らしたい」


「犯罪臭がすごいな! とんだロリコン勇者を選んじまったよ!」


 こうして世界は1人の勇者(の逮捕)によって平和になりました。めでたしめでたし。

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第11回空色杯【500文字未満の部】 かみひとえ @paperone

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