拾った相手は暴君でした

本月花

そして運命は動き出す





――人には親切に生きなさい。

それが母が残した、最期の言葉だった。





「いや〜助かったよ。ありがとうエレナ」

「いえいえ、困った時はお互い様ですから」

「お礼に野菜持っていって」

「わぁ!こんなにいいんですか?ありがとうございます!」


ガルティア帝国の南端にある小さな田舎町。

町へ買い物に来ていたエレナは大量に渡された野菜を受け取って、歓喜の声をあげた。


今日はいつもより早く外へ出てみたら困っているミランダおばさまを見かけて、そのお手伝いをしたらお礼に野菜を沢山貰えた。なんてラッキーな日なのだろう。


『人には親切に生きなさい。全ての物事は巡り回っていつか自分へ返ってくるから』


それが、今は亡き母が残した最後の教えだった。母が居なくなった日から八年経った今も、ずっと守り続けていることでもある。



ミランダおばさまにもう一度お礼を伝えて、エレナは裾を翻す。生暖かい風が頬を撫でて、サラりとシルバーの髪が揺れた。

空が澄み渡り、太陽が輝いている。紫水晶の瞳を細めて息を吸い込んだ。


何だか今日はいい日になりそうな予感がした。




***




「ふぅ……ちょっと買いすぎたかしら……」


ミランダおばさまに貰った野菜と、町で買った物たちを両手いっぱいに抱えながら、エレナは息を吐いた。

ミランダおばさまや町の人達は皆、エレナが一人なことを知っていて普段からよく気にかけてくれる。

唯一返せることと言えば、母秘伝である手製の栄養ドリンクを時々差し入れるくらいで。


『いつもありがとう、エレナの作った物はよく疲れが取れるよ』『エレナのおかげで疲れにくくなったよ』と気を遣って言ってくれるのだと分かっていても、エレナはその言葉が嬉しくて繰り返し作ってしまう。

そして今日もまた、懲りずに材料を買ってしまった。



「夜は何を作ろうかしら。お肉と野菜たっぷりのシチュー?でももう少しさっぱりとした物でも…………あら?」


家の横にある木に誰かが凭れかかっているのに気が付き、エレナはパチりと瞬きをした。

この家は町から少し離れている所にあるため、普段は滅多に人が来ることはない。それなのになぜだろうと首を傾げる。

しかし、家へ近付けば近付くほど、どんどん強くなる鉄の臭いに、エレナは小さく息を呑む。

それから荷物をその場に置き、恐る恐る接近して――悲鳴をあげた。


「きゃあああ!死んでる……!」


黒いローブに染みるほど溢れ出ている血はまだ乾いていない。つまり、殺害されてからそれほど時間は経っていないということだ。


「こういう時どうしたらいいの!?そもそもなんで私の家の前で殺人が!?」

「う……っ」

「い、生きてた……!」


町へ行って人を呼ぶべきか、でも死体を置いていっても大丈夫なのか、混乱するエレナの耳に、小さな唸り声が届く。

死んでいると思っていた人が生きていた事実に、エレナは驚愕した。


「貴方大丈夫?動ける?」

「……」

「一旦家に――きゃあ!」


一先ず家に運ぼうと手を伸ばしただけなのに、何が起こったのか。ぐるんっと、視界が回って、次の瞬間には目の前の男に押し倒されていた。


「殺されたくなければ答えろ。何故ここが分かった。誰の指示だ」

「??」


何故と言われましても、ここが私の家です。そう答えたかったけど、ひんやりした何かが喉へと触れているせいで口が動かない。

赤く燃えるような緋色の瞳は今にも自分を殺しそうなほど、殺気を放っていた。


「さっさと答えろ」


喉に当てられた刃物が皮膚へと食い込む。ピリッと痛みがして、自分はこのまま殺されるのだとエレナは悟った。


「い……」

「い?」

「嫌ーっ!!」

「おい暴れるな――ぐッ」


こんな死に方なんて嫌だとエレナは力の限り抵抗する。まさか騒ぎ立てられるとは思わなかったのだろう。男は驚愕してエレナを押さえつけようとした、その時。

暴れるエレナの膝が目の前の腹部を突いて、男が苦痛に顔を歪めた。


「ご、ごめんなさい!大丈夫ですか!?」

「……はぁ……はぁ……おまえ、」

「ああ良かった、息はありますね。危うく人殺しになる所でした。すぐ医者様を呼んで来ますので」

「……待て、医者は呼ぶな……」

「でもかなり血が流れてしまってますよ?」

「……いいから絶対呼ぶな。分かったらお前もさっさとどっか行け……邪魔だ」

「だからここは私の家なんですって!」


その声は既に届いていないのか、男は息も絶え絶えになりながら目を閉じる。エレナは小さく息を吐きながら今度こそ手を伸ばした。




***




「あ、起きました?」

「……お前……!」

「まあ、そんなに睨まれたら怖いわ」


ゆっくり瞼を上げた男は暫くぼんやりしてた後、エレナの顔を認識してカッと目を見開く。

しかしそれなりに重症の身体なせいで起き上がることができずに、そのままベッドへと再び沈んでいった。


「丸一日、目を覚まさなかったんですよ。医者は呼んでほしくないようでしたので呼んでいません」


エレナは湯を沸かしながら、状況を説明する。箱から乾燥させた薬草を一つ取り出して、すり潰していく。

この薬草も以前、町の子供が熱を出した時に煎じたことがあり、結構評判が良かったものだ。

軽いスープと共にベッドの横にある小さなテーブルへ置いた。


「宜しければどうぞ。お腹空いてますよね?」


エレナは声を掛ける。しかし男は一瞥しただけで手をつけることなく、ふいっと顔を逸らした。




***




それから三日。脅威の回復力を見せた男は、もう普通に歩けるほどになっていた。

初めはエレナを警戒しまくっていた男も、少しはこの環境に慣れたのか会話が成立するようになった。


「どこへ行く」

「町まで行ってきます。栄養ドリンクを作ったのでミランダおばさまにあげようと思って」

「……栄養ドリンク?」

「はい、体にいい材料で作った飲料です。健康にいいんですよ」


少し離れた所からじっと見つめてくる男に向かってエレナは鍋をかき混ぜながら説明する。


ミランダおばさまがこの前、腰が痛いと言っていた。だから少しでも良くなりますようにと願いを込めながら作った物だ。


「スープと薬はそこのテーブルに置いてあります。……無理はしないでくださいね」


鍋から小さな瓶へ流し込み、鞄に詰めた。

本当は町へ行くには少し早いけれど、男が出ていくためには自分は席を外していた方がいいとエレナは判断した。





「……あら?」


しかしエレナの予想とは反対に、家へ戻ると、男はまだそこに居た。水浴びをしたのか髪が濡れている。

怪我が治ったからてっきり出ていくとばかり思っていたのに。


「帰らなかったんですか?」

「出ていってほしいのか」


思わず零れた言葉に、男は不機嫌そうな表情で眉間に皺を寄せた。


「そういうわけではないけれど……貴方はここがあまり好きじゃなさそうだったから」

「……アル」

「え?」

「貴方じゃない。アルだ」


脈略がなさすぎて理解が遅れてしまったが『アル』というのはどうやら彼の名前らしい。


「アルって呼んでいいの?」

「ふんっ、好きにしろ」



テーブルに置いてある薬草は相変わらず手を付けられていなかったけれど、スープの容器は空になっていた。




***




「エレナ腹減った」

「アル、近いからもう少し離れて……」

「毎日ベッドで一つになって寝てるくせに何を今更」

「言い方……!もう用事は終わったの?」

「ああ」


アルと暮らし始めて二週間が経った。

初めはどうなる事かと思ったアルとの暮らしは案外上手くいっている。


晩ご飯を作っているエレナの腰を片手で抱き締めながら、アルは肩に顎を乗せた。


「見て、今日は大きなベーコンをもらったのよ。美味しそうでしょ?」

「お前はいつも色々貰ってくるな」

「ええ、皆お母様が亡くなってから沢山気にかけてくれるの。いくら感謝してもしきれないわ。本当は栄養ドリンクなんかじゃなく、もっと良いものをお返しできたらいいのだけれど……」


残念ながらエレナにはそんなお金も力もない。落ち込むエレナへ、アルはぶっきらぼうに言い放った。


「お前が町の奴らを大切に思ってることは見てれば分かる。それにお前は困っている人がいたら必ず駆けつけるだろ。そういう所を知っているから、町の奴らもお前を助けたがるんじゃないか」

「アル……」


感極まって泣きそうになるエレナの頭を、アルはぐりぐりと撫で回す。あまりにもぎこちない動作にエレナは声を出して笑ってしまった。


「ふふ…っ、ふふふ……っ」

「何笑ってんだ」

「んふっ、だって嬉しくて……」


エレナはアルのことを何も知らない。

今まで住んでいた場所や年齢、家族や友人のこと。血塗れで倒れてた理由や、時々どこへ行って何をしているのかも。


聞いたらこの生活が終わってしまいそうで、アルが居なくなってしまいそうで、エレナはずっと何も聞けずにいた。


知らなくてもいい。何者でもいい。

ただもう少しだけ、側にいて欲しかった。





そんなことを願った日から数日。終わりは突然やってきた。


「アル…………?」


町へ出て家に戻ると、そこには誰も居なかった。最初はいつものように少し外へ出ているだけだと思っていたのに、何時間待ってもアルが戻って来ることはなく、気付いたら夜は深くなっていた。


どこへ行ってしまったのか、なぜ何も言わずに出ていったのか、怪我はしていないか。

エレナの頭に色々な疑問が過ぎた。


黎明の薄い光が射し込む頃、うとうとしていたエレナの耳へキィ……と静かにドアが開く音が聞こえる。勢いよく顔をあげれば、漆黒が目に映ってエレナは立ち上がった。


「アルどこ行ってたの?心配したのよ。どこか怪我とかは――」

「エレナ」


近付いてくるエレナへアルは腕を伸ばして、自分の方へと引き寄せた。その抱擁に、エレナはその時が来たのだと理解する。


「……行っちゃうの?」

「ああ」

「行かないで、アル」

「すまない」


最後まで何も教えてくれないことが寂しくて、だけどそういう所がアルらしくも思った。

血の匂いを漂わせるアルに、エレナはやっぱり何も問いかけはしなかった。


「貴方と過ごした数週間はとても楽しかったわ」

「ああ俺もだ。こんなに穏やかで幸福な日々を過ごしたのは生まれて初めてだった」


エレナは涙が溢れそうになったのをグッと堪えて、無理やり口角をあげる。そして、小さな鞄を手渡した。


「これ、持っていって。薬草とか薬が入ってるから。本当に必要な時は好き嫌いしないでちゃんと飲むのよ」


この家にいる間、ついにアルが薬へ手をつけることはなかったけれど。

子供に言い聞かせるように諌めるエレナに、アルは苦笑いながら鞄を受け取った。


「ありがとう。行ってくる」


そう言って闇の中に消えていくアルの後ろ姿を、エレナは静かに見送った。

それがアルと会った最後だった。






それから暫くして。

私生児である第三皇子が親兄弟をも殺して、玉座についたと大々的に発表された。




***




「エレナ今日はありがとうね。お礼に魚を持って行ってってくれよ」

「そんな、私の方こそお世話になりっぱなしですよ。お力になれる事があればいつでも言ってください!」



アルがいなくなってから一年と少し。エレナは以前と変わらない生活をしていた。

いや、一つだけ変わったことがある。


どこから知ったのか、エレナの栄養ドリンクを買う常連さんができたのだ。

ポニーテールをした綺麗な女の人で、毎週のようにやって来ては買ってくれる。

お代にと、毎回袋いっぱいの金貨を差し出されるのはちょっと困るのだけれど……



「アメリさんこんにちは」


そんなことを考えていたせいか、家の前には何故か常連さんがいた。

つい三日ほど前に来たばかりなのに、どうしたのだろうとエレナは首を傾げる。

今日の常連さんは真っ白の服に剣を携えていて、まるで騎士のようでとてもかっこ良かった。


「そちらの方は……?」

「アルバート・オーウェンがエレナ様へご挨拶いたします。此度は私とアメリア、そしてラルフの三名がエレナ様の護衛を仰せつかいました。首都までは丁重にお連れ致しますのでご安心ください」

「??」


アメリの隣にいた二人の男へエレナが目を向ければ、怖面の男が一歩踏み出しながら挨拶してくれる。けれどエレナは一体何の話をしているのか全くついていけず、頭の中は疑問でいっぱいだった。


アメリさんじゃなく、アメリアさん?それに首都?護衛?どういうこと?


「先程から何のお話か分からないのですが、もしかして人違いではありませんか?」

「いいえ、エレナ様でお間違えございません」

「そうですか……あの、それは必ず行かなければならないのですか?そもそも私が行く理由も分からないのですが」


あまり家を長く空けたくなかった。作りかけの薬があるし、何よりアルが戻ってくるかもしれないから。

家を空けている間にすれ違いにはなりたくないのだ。


「はい、陛下直々のお呼び出しですので必ず行かなければなりません」

「……へ、陛下から!?」


全く思いつきもしなかった理由にエレナはぎょっと目を剥いた。


――アーノルド・デ・ベルンハルト


ガルティア帝国の現皇帝で、親兄弟を皆殺しにしただけではなく、自分に反発する者たちも問答無用で殺すことから、血塗られた玉座に座る冷徹非道な『暴君』と言われている。


そんな皇帝陛下からなぜ呼び出しがかかったのか、エレナには検討もつかなかった。




***




どんどん遠ざかっていく生まれ故郷を眺めながら、エレナは馬車に揺れる。


「皆心配するかしら」


町の皆にお礼すら言えずに離れてしまったことを少しだけ後悔していた。けれど、皇帝に呼ばれる理由が分からない今、下手に皆を巻き込んだりするのは嫌だったのだ。


「アルの馬鹿……」


いつかアルが戻ってきてくれるかもしれないと、また会いに来てくれるかもしれないとエレナは思っていた。

たった半月足らずだったけど、それくらいエレナにとってあの時間は特別で大切で。アルも同じ気持ちでいてくれると思っていたけど。でもそれは勘違いだったようだ。

結局最後までアルが戻ってきてくれることはなかった。


アルにとってエレナは、人生の中でほんの一瞬通り過ぎただけの存在。

この馬車の中で眺めている風景と変わりないのだろう。




「到着いたしました」


途中休憩を挟みながら一週間。ついにこの時が来てしまった。自分の家より何百倍も大きい城を見上げたエレナは、一瞬自分が来た理由も忘れて感嘆の息が零れる。


「エレナ様ですね。陛下から到着したら直ぐに連れてくるよう仰せつかっております。ご案内いたしますのでこちらへどうぞ」

「は、はいっ!」



エレナはできることならもう少し心の準備が欲しかったけれど、会ったこともない陛下から早く来いという圧を受けて仕方なしに足を動かす。

本当に一体何の用なのだろう。自分でも知らないうちに不敬を働いたとか?長い長い回廊を渡る足が酷く重かった。


案内の人が、一つの扉の前で足を止める。

ノック音が掻き消されてしまうほどの大きな音で、心臓が脈を打つ。このまま爆発してしまいそうだった。


「エレナ様をお連れいたしました」

「入れ」


重いドアがゆっくりと開いていく。エレナは震える手をぎゅっと握りながら一歩を踏み出した。


ああ、死ぬ前にもう一度だけ貴方に会いたかった――




「こ、皇帝陛下にご挨拶いたします」

「随分と他人行儀だな、エレナ」

「え?」


死を覚悟して、エレナは皇帝へと頭を下げた。てっきり罪状でも述べられるとばかり思っていたのに、懐かしい声色がしてエレナは跳ねるように顔を上げた。

懐かしいと言っても、何年も経っているわけではない。だけどエレナにとっては、この一年が、人生で一番長く感じたのだ。


「アル、なの…………?」


記憶の中と全く変わらない姿で、彼はエレナの前に現れた。呆然とするエレナの前まで来たアルは、自分よりも小さな手を取る。まるで宝物に触れるかのように、優しい手つきだった。


「一体どういうことなの?なんで皇帝陛下の部屋にアルがいるの?だって、まさか」

「アーノルド・デ・ベルンハルト、それが俺の本当の名だ 」


それは紛れもなく、現皇帝の名前だった。まさかアルが暴君と呼ばれている張本人だったなんて。あまりにも突然過ぎる展開に、エレナは目眩がした。


「……俺が怖いか」


黙り込んだエレナに、アル――アーノルドは、どこか不安を滲ませた表情で尋ねた。


「怖くないわ。物凄く驚いた、いいえ。今も驚いているけれど……でも怖くない。だって、貴方が優しいことを私はもう知ってるもの」

「――ずっと、会いたかった」


笑ったエレナをアーノルドはキツく抱き寄せる。会いたかったのは自分だけではなかった。その事実が嬉しくてアーノルドの背中に腕を回しながら、エレナは「私もよ」と呟いた。




***




ふかふかのソファへ腰掛けながら、エレナは紅茶を一口飲む。自分の家で飲む紅茶とは全く違う、上品な味がした。

もうアルと自分は違う世界に住んでいるのだと突きつけられたようで、エレナの気が沈んだ。


「まさかアルが皇帝陛下だと思わなくてびっくりしちゃった。凄いわ、頑張ってるのね!」


沈む気持ちを誤魔化すように、エレナは無理やり明るいトーンで口を開く。


「気軽に会えなくなるのは少し残念だけど……離れていても私はずっとアルの味方よ!」

「何言ってるんだ?今日からエレナもここに住むんだよ」

「え、ええ?なんで私が?」

「それはエレナが聖女だからだ」

「せ、聖女?」


初めて聞く呼び名にエレナはなんの事か分からず首を傾けた。


「エレナが前に栄養ドリンクって言って作ってた飲料があるだろ。あれから微かにだが聖魔法が感じられた」

「聖魔法……?」

「はぁ、やっぱり無意識だったのか。よく今まで無事だったな。アメリアを護衛に付けておいて正解だった」

「護衛ってまさか」


アーノルドが居なくなった後、入れ替わるようにしてアメリアはエレナの元へやって来た。それはつまり。


「ようやく気付いたのか」


アーノルドが揶揄うように、にやりと笑う。まるでアーノルドの手のひらで転がされているような感覚に、エレナは悔しくて唇を尖らせながら顔を背ける。

そんなエレナの顔を片手で掴んだアーノルドは、楽し気に頬をふにふにと押した。


「それで、聖女?だから私が必要ってこと?いつまで居ればいいの?」

「聖女かどうかが重要なんじゃない。エレナだから呼んだんだ。聖女ってのは、まあ建前だな」

「建前?」

「そうだ。何かしら建前がないとお前を側に置いとけないだろ」

「きゃっ」


グイッと、アーノルドはエレナの身体を持ち上げて自分の膝へと乗せる。

近すぎる距離にエレナが身を捩って離れようとするけど、そんなことは許さないとばかりにアーノルドは抱き抱える腕に力を込めながら言った。




「最初に拾ったのはお前なんだ。なら、最後まで責任を取らなきゃだろ?」





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