二つ目の解
「さあ、私は今から再びコールドスリープする。惑星に着いたら起こしてくれ」
僕たちに残されたのは三日分の植物プラントの食料。そして、三人が活動するには足りない酸素。
どうしても酸素が足りない。やはり、誰かが再びコールドスリープするしか選択はないのだ。
ちょっと待った。植物プラント? 植物は光合成をしている時は酸素を作りだす。もし、数日間、植物を食べずに酸素を作りだし続ければ?
「オリバー艦長、エミリー。もし、植物を食べずに酸素を作らせ続けたらどうだろう? 三日であれば、水さえとれば死にはしないと思うんだけど」
レオはおずおずと提案した。
「レオ、ナイスアイデアだわ! ねぇ、アルベルト、酸素が足りるか計算してちょうだい」
「かしこまりました。少々お待ちください」
三人揃ってアルベルトが出す答えを待った。とても長く感じる。もし、酸素量が足りなかったら、やはり誰かが危ない橋を渡ることになる。
「計算が完了しました。三日目まで植物を食べなければ、三名が活動しても足りる酸素が光合成によって作り出されるでしょう。そして、レオが言うとおり、水をとれば三日間は食料を食べなくても大丈夫です」
アルベルトが出した回答はレオたちを満足させるものだった。
「レオ、よくやった! この状況下でこんな考えを思いつくとは。やはり、君を乗組員に推薦したのは正解だったな」
オリバー艦長がレオの肩を叩きつつ言う。
レオは自分を褒めたかった。追い詰められた状況でも冷静に判断できた自分を。そう、どんな時も諦めてはダメなのだ。必ずしも答えは一つしかないとは限らないのだから。
エスポワール号の方程式 雨宮 徹 @AmemiyaTooru1993
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