第3話 崩壊

この世界には7つの国がある。

7つの国はそれぞれの中心部で神獣を神様として崇めている。


この街は何処の国にも属さない。

…がしかし、神獣がいる。

と言ってもただ血の繋がりがあるだけで魔物とそれほど変わらない扱いを受けている。


神獣と血が繋がっているためそんじょそこらの魔物とは大違い。

どんなに強い魔術師、魔法使いでも倒すことの出来ない魔法を使いこなし、勇者とも戦えるほどの力を持っている。



この街にいる神獣は街はずれの要塞の奥に鎖で繋がれている。

今までは兵士が四六時中見張っていて神獣もおとなしく捕まっている状態だった。





「レオ!起きて!」

母にそう言われて起きると、外がとても騒がしい。

窓の外が明るい……がそれは陽の光ではなく間違いなく火だった。一部の建物が火事になっている。


「なに!?何が起こったの!?」


母の余りの焦り具合に嫌な予感がよぎった。



「落ち着いて聞いてね。今までおとなしかった神獣が…急に暴れ出して街の人間を襲い始めたの。お父さんと私は神獣を倒す為に戦わなきゃいけない…。だから!あなただけは逃げて!生き残って!」


状況があまり飲み込めない状態、母はいつの間にか家を出ていった。



幸い、家は中央通りに面している。

真っ直ぐ走ってすぐ街の門から出ることができた。



門の外には…誰もいない。

この街の人間の9割が冒険者または兵士。

みんな、神獣に立ち向かっていった。

他の小さい子供たちも1人もいないのはきっと、火事に巻き込まれてしまったんだろう。

街の外に出た頃には街全体が火に包まれていた。






目の前に広がるのは火の海。

と赤色に染まった神獣。

あの赤色はおそらく…、返り血……。



精神的にきつかった。

今は街の外の丘から街を見ている。

視界には何体もの死体が入ってくる。中には見知った顔もいる。



「助かったのはお前だけだな。」


神獣が話しかけてくる。バケモノが。


「なんで…こんなこと…。」


涙が出て神獣の顔が見えなくなる。


「我はお前に会いに来た。転生して来た異世界人よ。」


「何が目的だ?」



「我の目的はお前を勇者にすることだ。」


「これ以外に方法はなかったのか?」



「方法はあるさ。その方法を今からお前が決めるんだ。勇者になれ。そうでなければ今よりも酷いことに巻き込まれる。この世界は終わる。」





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

『DANDA』〜神獣と旅をする〜 ショウ @shine___

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ