最後の召喚
国王の仕事がなくなったカクダス王は、一人で過ごすと決めて隠居する。悠々自適に過ごしたい。そう願い魔法を使う。行き先、居場所も誰にも知られずに、誰にも何にも悪い事をいわれたくないそう叫び……
「家も、兵も、全て再び召喚しよう。私だけの居場所が欲しい」
城下町から離れた山奥で、小さな家と複数の兵士を召喚して守りを固める。
「二度と、誰にも、咎められない。これだけいれば少しも淋しくはない!」
ほんとうは欲しいものが、カクダス一世にもあった結婚もしたければ、子供だって欲しい。だけど召喚魔法で呼び出した、妃と子供はほんとうの家族か?
それに愛はあるのか、心はあるのか、自分の魔法に疑問抱いていた。出来るなら本物の人がよかった。けれども身分が違いすぎると誰もが近付かない。他人の望みは叶えられても、自分の願いは叶わなかった。
「強くて、丈夫な、家を作るぞ、この山の上より高く聳え立てる。どんな魔物や賊からも守れるように、安心して住みたいんだ。私自身!」
召喚魔法の紙をいっぱいまで使い、大きく、高く、やがて夜の月を隠すほどの突き出た、頑丈そうな一軒の家に仕立てあげていく。
「これでいいんだ。もう何も怯えずにひっそりとやれる、そして何にも怖くはない」
ファンタジーラボ 本乃しおり @skathy
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