ファンタジーラボ

本乃しおり

この世界の歴史

むかしむかし、このカクダスの国の、国王カクダス一世は、召喚魔法で無双していた。強い城、強い馬、強い兵、強い武器と鎧。無限に召喚しては強い国を作ってかずで敵の国を圧倒した。


「これだけ召喚すれば、最強の国になる。どんなモンスターや敵の国にも侵略されない。民は誰一人戦争にいかずに済むだろう」


しかししかし、戦いの果てに、町という町、家と家はめちゃくちゃにされてしまう。賑わっていた店も品物がなくなり、国民たちはお金に苦労していた。


「新しい家と、お金をもっと、無限に召喚してやろう」千、万、億、兆と無限にお金を召喚して、民に配って回る「みんなが金持ちになれば貧しい者がいなくなる。貧しい者がいなくなれば泥棒や犯罪者もいなくなる。この国は安全で豊かな国になるだろう」国王の召喚はそれだけに留まらず、貧しい国や地域にも分け与えた。


「豊かさはみんなでシェアしなくてはな。強くて、優しくて、豊かで、安心して住める。そんな国として世界にアピールするんだっ!」


たちまちカクダスは、世界から称賛されるや、色んな国から様々な召喚の依頼が殺到してしまう。「事故で失った手足を召喚して欲しい」「健康な臓器を召喚して欲しい」「亡くなった家族を生き返らせて欲しい」「恋人を召喚して欲しい。イケメンでイケボで、構ってくれて、奢ってくれて、差別しない、けして裏切らない、完璧な恋人がいい」果ては「世界を粛清したい?ちょっと何いってるかわからないぞ」


カクダスの国の由来は「書く」「出す」絵に書いたものを呼び出す召喚魔法そのもの。書いて書いて書きまくればどんな問題も国王が解決出来るけど、書いててどんどん益々増々プレッシャー。溜まっていく「任せよ信じよ心配ない、甘えよ頼れよ問題ない」そういったもののどこまで出来るかわからなくなり、やめるとたちまち民から叩かれそうな気がした。


「なんて荒らしだ」「ひどいアンチだ」そう言ってしまえば民心は自分から離れていくのはもう目に見えていた。だから国王は決断した。召喚魔法を民営化して国民たちに委ねてしまおうと。

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