第7話 私にとっての転機
そんなわけで、少し速く走れるようになった、VO2Maxが上がった、体重が減ったなど色んな要素を体感しながら私のランニング習慣は始まった。最初は趣味を探して、運動不足解消にただ走り始めただけだった。趣味としてだ。
が、今は完全に競技志向をしている。転機になったのは、2023年4月29日に初めてレースに参戦したことだ。といっても、リアルのレースではなく、バーチャルレース。最初のほうに紹介したAdidas Runningというアプリ上で、5㎞のレースがあった。アプリで計測をすれば(GPSウォッチを繋いで計測でももちろんいい)、その記録を全世界のアプリユーザーと競えるというものだった。
私は特に設定タイムも何も決めず、ただがむしゃらに走った。
最初の1㎞、4:08。もちろんこんなペースで走ったことはない。呼吸は乱れている。さすがにこのペースでは持たず、ペースダウン。
2㎞目、4:24。なんとかこのペースなら粘れる。
3㎞目、4:28。早く終わってほしい、苦しいけどまだ頑張れる。
4㎞目、4:28。粘った。
5㎞目、4:36。さすがにきつい!
そして出た記録が22分5秒。めちゃくちゃ速いわけではないが、走り始めて4か月程度の私が調子に乗るには十分な記録だった。
「実は俺、結構速いんじゃね?」
そしてその1か月ちょっとあとの6月4日には同じくAdidas Runningのバーチャルレースで10㎞のタイムトライアル。5月の序盤には怪我をしてしまったため、あまり走れていなかったが、痛みも引き、タイムトライアルには支障がない状態だった。この日は目標を明確に掲げていた。45分切り。ここまでくれば初心者ランナーは卒業して中級ランナーと言っていいレベルに思えたからだ。(いろいろ解釈はあると思う。)
1㎞目、4:11。また突っ込みすぎた。
2㎞目、4:23。これぐらいでいけるのか?
3㎞目、4:30。きつい。
4㎞目、4:14。なぜか上がった
5㎞目、4:34。やはりきつい。
粘っていたが、終わりが果てしなく遠く感じられる折り返し。
6㎞目、4:29。
7㎞目、4:35。
8㎞目、4:39。下がってきた。粘れ。
9㎞目、4:23。よし、ラストだ。
10㎞目、4:19。
10㎞を44:20で走れた。会社でランニングを趣味にしている人に話してみるとすごいと言われ、さらに調子に乗った。
ここらあたりから、私の志向はファンランから競技に向いていくことになる。フルマラソンを走れるだろうか。それならその前には一回ハーフも走っておきたい。練習はこのままでいいのだろうか。シューズはどんなものがいいのだろうか。
検索でいいシューズを調べる。練習メニューを調べる。自分のレベルがどのあたりにあるかを確認し、どんなタイムで走れそうか確認をしてみる。
YouTubeでランチューバーと呼ばれるランニング系YouTuberからの情報を見だしたのもこのあたりからだ。
さらに、ランニングに関する書籍を色々見だした。『ダニエルズのランニングフォーミュラ』が現在の練習の基礎となっている。『リディアード』というのも有名なようだが、実際に練習に取り入れるのは今シーズンが終わってからになるだろう。まずはダニエルズさんの練習を実践し、結果を確認したいからだ。
10㎞を44:20というのをVDOT Calculatorというアプリを用いて計算すると、フルマラソンでは3:24に相当するという結果が得られており、これは男子競技人口でも既に上位15%。自分の思わぬ才能にびっくりしつつも、どこまでいけるか試してみたいという気持ちが強くなった。
そして、10月に初のハーフマラソン、11月に初のフルマラソンの予定を組み、練習にも工夫を加えるようになっていった。
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