終章のはじめに
私はまた、この文章を書きながら震えている。あまりにも
駆け出しの作家である私が当事者となった事件である。多くの人間の欲が絡み合い、
事件自体は解決を見せたのだが、捜査に尽力して下さった警察関係者の方でさえ、
そして私は今、震えているのだ。新たに
とりあえずここまで書いてきた文章を発表するつもりはないが、
そんな私の目の前で、
あれから色々とあって──その色々はこれから文章として書き起こすのだが──
その上で、「僕たちはこれから監視対象ですよ? 秘密を知ってしまったんですからね。もし誰かに言ったりしたら……消されますからね」と、いつもの如く眼鏡をかちゃりと上げながら怖いことを言っていた。もちろんこれは
まあそういった事情から、この文章は誰にも見せることはないと思うのだが、目の前のこの大切な友人二人には読んで貰おうと思っている。あの女警察官──
「伽藍胴殺人事件side鷹臣の章を書いていたなら分かるだろう?」と言われそうだが、実はそうでもない。何故なら鷹臣の章を書きはしたのだが、当初私には
自分で書いておいて認識出来ないとはおかしい話だが、その当時は本当に認識出来なかった。確かに書いていた記憶はあるのだが、記憶が曖昧で、画面も文字化けのように見えていた。
そもそもここまで紡いできた奇妙な文章は、
つまり伽藍の悪魔の正体が何なのかが分かってしまう文章となっていた。それに気付いた伽藍の悪魔が急いで私に深く干渉し、「伽藍胴殺人事件side鷹臣の章/佐伯鷹臣1」以降を認識出来なくしたようだ。困ったことに私は
特異な頭脳を持った
ひとまずは最後まで書き切ろうと、私は思う。
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