第73話 佐伯鷹臣 13
──
「……昨日はよく眠れた?」
「昨日から……してばっかりだね? 私たち」
「すみません……」
「いいのよ。私もしたいし
「そう……ですね。ですが……傷付いていませんか?」
「そんなことないわよ。まあ……裏切られたら傷付いちゃうとは思うけど、
「はい。
「それならよし」と、
「ありがとうございます。砂糖は二つで、出来ればミルクもあれば」
「ふふ、可愛いわね?」
「そうですか?
「基本的にはブラックかな? 甘いのは糖分足りなくて頭が回らない時に飲んだりはするけれ──」
「ん……ちょっと
「……またするの? もうすぐ
「すみません……
「……やっぱり昨日からまた毒性が強くなった……ってこと?」
「そう……でしょうね。昨日の夕方あたりから伽藍の悪魔がはっきり見えるようになった……今も僕の後ろで……」
「……頭がおかしくなりそうですね。もしかすれば新たに誰かが、伽藍の悪魔と約束を交わしたのかもしれない。今の僕は……おそらく第四保菌者の感覚に近いですからね」
「空気感染で感染段階を上げられる……ってやつ?」
「
「いえ、私は昨日から変わらないわ。まあでも、
「……となれば空気感染で……というわけではなさそうですね。そもそも僕は伽藍の悪魔の正体に辿り着いた。約束を破ったわけでもない……むしろ約束を果たした場合にどうなるかも分かっていないですし、変化もない……いや、約束を果たしたとしても感染段階が上がる? いやいやそれでは理不尽すぎる。何か他に見落としていることでも……もしかすれば辿り着いた答えが違う……」
「はぁ……本当に相変わらずね? 私の愛の告白を簡単に流さないでくれる?」
「……すみません」
「ねぇそれより……」
「やっぱりこれって詰んでるんじゃない?」と、
「伽藍胴殺人事件の犯人である
「そうなんですが……」
「何かが引っかかるんですよね。何か簡単なことを見落としていると言えばいいのか……」と、
「実は除霊……的なことで簡単に解決とか?」
「それはよくない結果になりそうなんですよね。空っぽの私たちでも、除霊しようとした霊媒師が殺される描写があります。作中で明言はされていませんが……おそらく除霊しようとすれば、伽藍の悪魔と深く繋がることになってしまい……といった感じだと思います。もちろん試してみなければ分かりませんが、僕には他人の命を実験台にすることなんて出来ません」
「ふぅ……」と、
「もう私にはお手上げだわ。
「問題が山積していますね。ですが伽藍の悪魔に関してはもう少し考えさせてください。僕の中で引っかかっているものがクリアになれば、何か突破口を見いだせるかもしれない」
「なら私は模倣犯や教団のことを調べるわ」
「ありがとうございます」
「感謝するのはこちらのほうよ。それより……」
「
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