第71話 佐伯鷹臣 11
──
「もう左肩は大丈夫なの? 固定具は?」
「まあ痛いですが、動かさなければ大丈夫です。固定具であれば、目立たないサポーターを服の下に装着しています」
「心配されるのが苦手なんです。それより読みましたか?」
「そうですね。登場人物の名前や事件の詳細などは変えられていますが、これは──」
「
「でもこれが本当だとしたら、私たちはもうお手上げってことなのかしら?」
「どうなんでしょうか。この小説では……怨霊に取り憑かれた主人公が、高校時代に心を奪われた女性を十四年後に拉致して殺害するところで終わっている。まあつまり、
「……すごいわよね、この本。ほらこの頁──」
そう言って
「
「はっきり全ての会話を覚えているわけではないですが、僕と
「
「ねぇ……私にも……して……?」
そう言って
しばらくして恍惚の表情からハッと我に返った
「僕なら大丈夫ですよ?
「でも……でも……」
「痛かったわよね……肩……」と、
「……それにしても厄介なことになりましたね。まさか約束を交わすほどに
「やっぱりこの本に書いてあることは本当なの?」
「おそらく。僕は初め、
「狂ってきた……というより、自分の中にある欲望が膨らむって感じなんでしょ?」
「そうですね。とりあえずこれを見てください。この本に書かれた
そう言って
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