第63話 佐伯鷹臣 3
「お久しぶりですね──」
「
ほんの数秒の静寂の
コレクションルームは異様な空間だった。入口から入った一階はまさに
全てが黒い。柱も、ソファも、テーブルも床も天井も螺旋階段も──
おそらく明かりがなければ全ての景色が闇に溶けてしまい、そこにはただただ黒くて深い闇があるだけになるのだろう。
「一緒に入ってきた女性は?」
そう言いながら
「警察だと分かっているでしょう? あなたは恐ろしく頭が切れる。だからこそ無駄な抵抗などせずに僕を招き入れた。ひとまずは招き入れて頂き、ありがとうございます」
そう言って
「どこから僕の計画は狂ったのか聞かせて貰っても?」
「それが僕にも分からないんですよ。先程も言いましたが、あなたは恐ろしく頭が切れる。実際、
「下野兄弟は既に殺されているんでしょうがね」と、
そう、この段階では
「……現段階でのあなたの容疑は、幾度かの薬物使用と先程救出された
「なるほど。だがそれは目に見える事実。君が僕を追い詰めたのは……」
「僕の背後の
「……そうですね。僕があなたに初めて会った時、あなたの背後には殺された
「いったいあなたはどれだけの人間を殺したんですか? あなたの背後……殺された人たちが複雑に絡み合って顔は判然としませんが……」
「下野兄弟も殺したんですよね?」と、
「ここまで来たら隠したところで無駄なんでしょう。そうです。
「完成品……?」と、
「
「……予想以上にあなたは狂っているんですね。確認させても?」
「ええ。好きにしてください」
「ああ、二階には僕の叔母がいますが気にしないで下さい。指示されたこと以外は僕を告発するような手記を書き続けるだけの壊れた人なので」
と、螺旋階段を上ろうとする
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