第47話 駿我雅隆 6
どういった心理状況で
予想外にも
もちろん
そして迎えた運命の日。それは
脱衣所でゆっくりと服を着替えていると、唐突に父の「やめろ!」という叫び声がしたのだ。それと同時、母のけたたましい奇声も聞こえ、
そこには
母は既に事切れているのか、床に倒れ伏してぴくりとも動かない。体の周りには
おそらく死んでいるであろう母に対しては、「汚い中身を見せて最低だな」程度にしか思わなかった。まあとりあえず意図せず両親が殺しあったのだろうと、父に視線をやる。
父は
床を見れば二本の包丁。なるほどな、と
といったところだろう。父は血を流しすぎたのか、もはや動くことは出来ないようで、このまま放っておいても死ぬのだろうと思う。
最近はどうやって両親を殺し合わせるか、もしくは自殺させるかばかり考えていたので、これはもしや神様からのギフトなのではないかと面白くなってしまう。とりあえず唐突な事態ではあったが、
まずは手袋を嵌め、父の書斎の金庫を開ける。金庫の中には様々な映像作品があったが、とりあえずは不倫相手との行為を撮影した映像だけを残し、他は全て回収。もちろん
回収した映像作品は、あらかじめ自分の部屋に用意しておいた隠し場所へと隠す。これに関してはそれほど凝った隠し場所にはしなかった。なぜなら
だがバレてしまった場合、父と
勝手に自分の理想通りの流れになっていくことに、
とりあえず書斎の仕込みを終えた
その後、しばらくしてからパニックになった体で警察に電話。駆け付けた警察に「お風呂に入る前、母が父の書斎でドラマか何かを見ていた」「お風呂から出る時に叫び声が聞こえたので、寝室に行ったら父が首から血を流しながら母を何度も刺していた」「その後で父が倒れ、名前を呼んでも父も母も反応しなくなった」というようなことを、呆然とした様子で語ってみせた。それに加えて「父と母は最近すごく喧嘩してた」「不倫って言葉も何度か聞いた」と、ダメ押しの言葉も混ぜる。警察に「もう大丈夫だよ」と抱きしめられた時は、上手く泣いてみせることも出来た。
その後は
結果として捜査はすぐに終わり、不倫の末の凶行として事件は片付けられた。
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