ある日記と手記/全8話
第31話 中not悪魔 ※ある少年のノートに記された文章 1/2
※日記を書き写す際、読みやすくするために、漢字表記へと修正した部分が多々ありますことをご了承ください。また、言葉の意味を知らずに書いた部分も散見され、文脈から類推して正しいと思われる言葉に変えてあります。
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僕は悪魔なんかじゃありません。
でも僕のお父さんは僕が悪魔だと言います。
僕の中身は穢れているのだと言って、僕のお口とお尻に痛いことをします。
「これはお前の中を綺麗にするためなんだよ」と言って、いつもいつも不味くて痛いことをします。
お母さんは助けてくれません。お金が大事だからと言っていました。お母さんも僕の中身が穢れていると言い出しました。
「そんなことない」と僕は言ったんだけど、お母さんは「最近笑顔じゃないか!」と叫んで僕を
「笑ってるのはそっちの方が早く終わるからなんだけどなぁ」と言ったら、お母さんは泣いていました。
最近お母さんも変になってきました。「お前の穢れたものを綺麗にしてあげる」と、お父さんとは違った変なことをしてきます。
痛くはないけれど、とっても気持ち悪くて嫌なんだけどなぁと思います。でも嫌なことをした後のお父さんとお母さんは優しくなります。「痛くしてごめんね」「気持ち悪いことしてごめんね」と謝って来るので、僕は「大丈夫だよ」と笑ってみせます。
二人とも「お前は悪魔だ。見た目こそ美しいが、中身は悪魔なんだ」と僕を怒ることが増えて来ました。
僕が「そんなことないよ」と言って笑ってみせても、「お前のその笑顔に騙されるか!」「どうせ私たちを軽蔑しているんだろ!」と言って更に怒ってしまいます。
「なんでそんなこと言うの?」と僕が言っても、「なんなんだお前は!」「もう私たちを解放してくれ!」と叫んでしまいます。
僕はただ、二人が優しくなってくれるのが嬉しくて、自分から進んで嫌なことをするようになっただけなんだけどなぁと不思議に思います。
だからもっともっと僕の中身の穢れをなくして欲しくて、積極的に二人と触れ合ってるだけなんだけどなぁと疑問に思います。
でもやっぱり僕の中身は悪魔なんかじゃありません。それと最近思ったことがあります。「中身が悪魔なのは二人の方じゃないのかなぁ」ということです。
だって僕に痛くて、不味くて、気持ち悪いことを教えたくせに、僕の方からすると気持ち悪そうにするからです。矛盾してるなぁと思います。
なにかの本で読んだけど、悪魔は狡くて、矛盾してて、痛いことや嫌なことをしてくるそうです。やっぱりそうなると「中身が悪魔なのは二人の方なんじゃないかなぁ」と思います。
お父さんはとってもかっこいいです。モデルさん? をしていたこともあるそうで、お父さんを信望する信者? みたいな人もたくさんいます。それと女の人と二人でよく旅行に行っているとお母さんが言っていました。お母さんもとっても美人です。お父さんがいない時に男の人が家に来て、僕にする気持ち悪いことと同じことをたくさんしています。
「お父さんには内緒だよ」と言ってきますが、内緒は狡いなぁと思います。やっぱり中身が悪魔なのは、二人のほうなんだろうなぁと思います。
最近英語を覚えました。notという英語です。「違う」という意味らしく、僕は「中not悪魔」というキャクターを作って遊んでいます。
「中not悪魔」は正義の味方です。汚れた人たちの中身を綺麗にしてあげる存在です。
試しに「中not悪魔」になりきったつもりで、お父さんとお母さんの中身を綺麗にするお仕事をしてみました。でも道具を使わないとだめみたいで、お口の中に手を入れようとしたら殴られてしまいました。
二人の中にいる悪魔を出そうとしただけなんだけどなぁと、悲しくなりました。二人が起きてる時だと殴られてしまうので、寝てからお仕事をすることにしました。
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