第9話 結束倫正 3
──二〇一六年八月、東京
「ふぅ……」
ビジネスホテルの一室で男が一人、大量の週刊誌や新聞と向き合い、ため息を漏らす。そのまま目の前のローテーブルに置かれたノートパソコンに、「そして二〇一六年の八月現在、下野兄弟の行方は依然不明のままである──」と打ち込んだ。
「それにしてもこの
男がそう呟いた後で「ちっ」と舌打ちをして立ち上がり、胸ポケットに忍ばせた煙草と年季の入った
立ち上がった男は身長も高く、鍛えられているのであろうことが伺える筋肉質な体。短く刈り揃えられた黒髪に精悍な顔つき。紫煙を
男の名前は
そんな
それは友人である
友人の
なぜなら過去に一度、
だがだからといって、青森県警所属の
ブー、ブー、と
「勘弁しろよ
「悪いな。それより調べた結果はどうだったんだ
電話の相手は
この二人、青森県に生を受けてから小中高と同じ学校に通っていた腐れ縁である。高校卒業後、
「その前にお前が左遷された本当の理由だ。そろそろ話してくれよ。正直な話、お前が
「またその話か……」
「話したところで信じて貰えないさ」と、
「俺は信じてるぜ?
「茶化すな」
ユイリンとは
「今回ばかりは折れないぜ? こっちも危ない橋を渡ってるんだ。ちゃんと話してくれないなら調べた情報は教えられない」
「いや、違うんだ
「いいから話せよ」
語気の強い
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます