第4話 奥戸雪人 4
「い……行かないでくれよ
テーブルランプの灯りだけが頼りの薄暗い寝室で、ベッドから出ようとする
「仕事で少し出なければならないんです。しばらく自宅にも戻っていないですしね。
そう言ってベッドから起き上がった
何度となく見た体。何度となく求めた体。
欲しい──
怖い──
寂しい──
壊したい──
「最近寝れないんだ……一人でいると不安で怖いんだよ……よく分からない幻覚も見えるし、イライラするし……お願いだから置いて行かな──」
「わがままはだめですよ? 戻ってきたら……またたくさんしてあげますから」と、唇を離して
「本当に最近変なんだ……前に幽霊の幻覚を見てから時間の感覚もおかしいし……
「
「信頼していたんですよね?
「う、うるさい!
そう言って
「仕方ないですね……
「ちょっと待ってくださいね」と、
「知り合いに処方して貰った精神安定剤です。一時間だけなら時間があるので……」
「僕の中に
そこからの記憶が
「うぅ……気持ち悪い……」
視界がぼやけ、堪えきれない吐き気に襲われて急いでトイレへ向かう。そこでげぇげぇと吐くが、何も食べていないせいで胃液しか出てこない。吐き終わった途端、今度は涙が溢れ、トイレの中でしばらく泣いた。
「……やっぱりあれって……ドラッグだよな……」
あの後で薬物に関して色々と調べ、直腸から吸収させる方法もあると知った。そうなると色々と納得がいく。
例のポルターガイスト現象や幻覚だ。あれからも何度か幻覚は見た。あの日と同じ、裸体で虚ろな目をした女性の幻覚。現れると必ず
幻覚は何度か言葉を発したこともあった。声はひどく聞き取りづらくはあったが、「ニゲテ」「ハヤク」と、まるで
「分かってる……たぶんあれは俺の本心が見せる幻覚なんだよな……」
そう
それとも人ならざる
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