第90話
今日は久しぶりと言うか数年ぶりに尾張の例の飲み屋にやって来た。
弟子たちは俺だけで出かけると言ったら「
いや、興味はあるが、病気が怖いぞ!!
平成・令和の時代ですら風俗で病気貰ったとか聞くのにこの時代なら・・・考えたら
まぁいい・・・店を見渡すと・・・お!居た!!
あのとぼけた猿顔は間違いない。
俺は早速とばかりに声を掛けた。
「おう!お猿さん信長に斬られなかったようで何より」
「あ!長さん久しぶり~それで兵法修行どうなの?」
「おう!よくぞ聞いてくれた!弟子を取る身になったぞ!!」
「某の事も聞いてくれよ~」
「某~昔はオラとか言ってたのにお猿さんも立派な武士になったもんだね~」
お互いに揶揄いながらも旧交を温める。
一刻後
「くわはははは~長さんの弟子が女の子で・・・ぷぷぷ~弟子を買った!!」
「そっちこそ、嫁さんの尻に敷かれてる?ぷぷぷ~ウケるんですけど~」
まだ酔ってないはず!!
(酔っぱらいはそう言います)
いや~このお猿さんとは気が合うし、何にしても楽しい酒だ。
良いペースで酒を煽るがまだまだ宵の口だ。
(多分、十分に酔ってます)
「そう言えば長さんはまた尾張に何しに来たの?」
「おう!一応お前さんの事が心配でな~安否確認だ」
「長さん!!俺の事をそこまで心配してくれて!!」
なんか涙ぐんで鼻水を袖口で拭いてるし・・・
「まぁ他の用事もあるし
「それでも、オラの事心配して・・・」
「おいおい、オラに戻ってるぞ」
「おっと、いかんいかん」
お互いにまた酒を煽る。
モジモジとしながら何か言いたそうにするお猿さん。
「
「厠ちゃうわい!」
「そうか?なら何故にモジモジしておる?」
「おう・・・時に~長さんに相談があって・・・」
「おいおい、またかよ~」
「そう言わないで聞いてけろ~」
「まぁ話してみろよ」
「実は~」
お猿さん曰く、現在、織田家は美濃とドンパチやっているとのこと。
まぁ知っているぞ、信長はドラマや小説、漫画で大人気で腐る程見たしな~いやいや、腐ってない腐ってない、例えだよ例え!
俺の知る流れとしては、信長は斎藤
しかし、その義龍も病没し今はその息子の
信長の美濃攻めの大義名分は道三の国譲り状、確か俺が観た小説では「美濃国譲り状」を信長がでっち上げたってのあったけど・・・多分、そんなものだろうな~それが嘘か誠かではなく、有ったという事を言う事に意味がる。
簡単に言うと、大義名分の為のいちゃもんだ。
さて、お猿さんはここが更なる出世の糸口だと考えているらしい。
確かにここはそうだろうな~
中でも美濃に城を落としそれを功績としたいという事だ。
ん?落とすんじゃなくて・・・何か違う事で功績を上げた人物が・・・まぁ歴史の中でも人気の信長・秀吉のところだし少しくらい覚えていても不思議ではないが、城を落とす?・・・築くんじゃなかったっけ?
そう、築くで間違いない!
え~と確か秀吉が行った
代わりにこのお猿二号が出世しても秀吉ならきっと後々出世するだろうし、少しくらい・・・全部パクっても問題無いだろう。
おし!この作戦で行くか!!
「お猿さんには美濃の地形に詳しく、川での仕事を生業としている者とか知っている人居る?」
「丁度、昔の知り合いに居る!」
「ほ~それは好都合!!」
「その連中を味方に付けて城でも落とすのけ?」
「城を落とすのは大変だろ?」
「そりゃ~大変ずら!!」
「だからこっそりと作るのさ」
「こっそり?・・・ぷぷぷ~こっそり作るって、無理無理、無理!作っている最中に敵方に見つかり築城など夢のまた夢、無理無理!神様仏様が味方されようと無理な物は無理!!現実を見ようよ長さん・・・」
呆れたようにこのえて公が俺を馬鹿にしたように見る。
アイデア欲しいとか泣き付いたくせにこのクソ猿が!!
「無理無理五月蠅いな~」
「無理な物は無理と言わずに何と言うずら?」
「おい、言葉が乱れているぞ」
「う~それは失敬・・・ずら」
「お前酔ってる?」
「そっちこそ酔っているだろ?」
俺は・・・少しだけ酔っているが目の前の猿よりましだ。
(十分に酔ってます)
「まぁいい・・・酔ってても覚えておけよ」
「はいはい」
「「はい」は一度だ!!・・・まぁいいか~それで、城を一夜で作れば見つかるまい?」
「う~ん・・・一夜で城?・・・はぁ~?とうとう長さんは呆けたか?」
「このクソ猿が!!阿呆め今から説明してやるから聞けよ!」
「阿呆と言う者が阿呆なんじゃ!!まぁ聞いてやるよ!」
「偉そうに!あ~酔っているな~本当に覚えとけよ!忘れたと言っても知らぬぞ!」
「そっちこそ酔ってるずら!オラは物覚えは良いずら!!」
その後ああだこうだ言いながら一夜城プロジェクトを説明し納得?してもらった。
もう、覚えていなくても知らんわ!クソ猿め!!
次の日
「う~頭が割れる・・・」
「「長師匠・・・くちゃい!」」
「長師匠・・・飲み過ぎですよ!」
「長師匠も付き合いあるの解るけど、程々にしないと・・・」
莉里・春麗に酒臭さを指摘され、美羽・真里に深酒を注意された。
あ~それにしても、お猿さんにまた名を聞くの忘れたことに朝起きてから気が付いた。
まぁ生きているならまた会えるだろう。
あ~でも酔ってて気が付かなかったけど、これこそ歴史改変ちゃうかな・・・秀吉なら何とかなるとか酒飲んでる時は思ったけど、もしも秀吉がこのことで出世しなかったら・・・うん!気にしたら負けだ!!もう賽は投げられた・・・お猿二号も酒をしこたま飲んでたし、若しかすると・・・墨俣一夜城の事は覚えていないかもしれないしな~なるようになるだろ。
★~~~~~~★
朝、
「お前様!酒を飲むなとは言いませんが、飲み過ぎです!!」
「ふへぇ?・・・はい・・・申し訳ございません」
「はぁ~、気負付けてくださいね」
「うむ・・・善処する・・・」
寧々からは呆れられたが確かに昨日は少し飲み過ぎた。
久しぶりに長さんと会い調子に乗ったので仕方ない・・・
傷む頭で信長様の下に向い昨日の長さんに聞いた作戦を伝えることとした。
「・・・と言う行動を考えております」
「ほう・・・中々に考えたな!猿!!」
「はい!」
「して、その事を考案したのは誰じゃ?」
「と言われますと・・・」
「猿よ」
「はい・・・」
「お主と我は何年の付き合いとなる?」
「え~と・・・10年程かと・・・」
「そうよな~それ位長い付き合いになれば、お主の考えそうなことも予想は付くが、先程の考えは・・・」
「お、御見それいたしました!実はまたあの兵法者と会いまして・・・」
「ほう、それで、その者の考案したことと?」
「はい・・・」
「・・・相分かった!この件の全てを其方に任す!好きな様にやってみよ!!」
「はは~!有難き幸せ!!」
信長様より全ての差配を任された!!
これは好機だ!
この好機を逃す訳には行かぬ!!
先ずは
そして、色々と手配するにも人が足らぬ・・・
あ奴は中々に気の利く弟だし上手い事手伝ってくれるであろう。
さて、忙しくなるずら!!
★~~~~~~★
噂の絶えぬ丸目蔵人と猿は余程に相性がいい様だ。
聞くだけでも驚きの珍妙にして摩訶不思議な城の建築を提案してきよった。
一日で美濃の墨俣に城を築くと言う。
何を馬鹿なと思うたが、猿に話を聞けば不可能ではないと・・・思える。
城を築くには先ず資材が居る。
その資材を城を建てる場所に運ぶ必要がある。
運ぶには川を使うと言うのは名案であるが、ここまでは誰でも思い付く。
運んだ資材を集積すれば敵に勘付かれる。
勘付かれれば攻めて来るから守る必要があるが、ここで簡易的に柵を作る。
そして、ある程度加工した木材と大工と一緒に川より運び込み城を作っていくのは解るがここからが珍妙で面白き作戦じゃ!!
先ずは張りぼての城を築く。
敵はそれを見て警戒するが、その間に少しづつ城を建てて行く。
敵には一晩で城が建ったと勘違いさせてその間に少しづつ作って行くとは!!
何たる智謀じゃ!!
張りぼてならば確かに一晩で出来ようがそれを使うと言う考えには及ばなかった。
敵もまさか張りぼてとは思うまいし、見てくれだけでも脅威に感じる物じゃ。
実に良い!!是非とも我が配下に加えたいものではあるが・・・
〇~~~~~~〇
うんちく書きたい!!でも書かずに・・・
さて、今回は久々の秀吉登場!!
そして、信長登場!!
次回は三河に移動します!!
◇~~~~~~◇
88話にてご意見くださった読者の皆様感謝!!
88話は色々な仕掛けを入れていました。
何処まで読み解かれましたでしょうか?
一応、近況ノートにてそこら辺を説明しております。
ご興味ある方は下記リンクから覗いて見て頂きたい!!
【『 剣豪にて候~転生したら丸目蔵人佐になっちゃいました!!~(仮)』88話について】
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