第89話
孫次郎さんはその後憑き物が落ちた様に穏やかになったと後日お礼に来た霜台爺さんから聞いた。
主君が穏やかに残りの生を過ごせることに大変感謝して「何か礼がしたい」と霜台爺さんは言って来たが「礼が欲しくて教えた訳ではない、それより約束守れよ霜台爺さん」と言って断った。
「長らしいな、無論、約束は違えぬ」とぽつりと漏らしそれ以上は何も言って来ないが、俺らしいとは何だろう?俺は知り合いに最後は穏やかに逝って欲しいと願い教えただけだ。
2人とも悪用するようなことはない人物と信じて教えたのだ。
それにしても、孫次郎さんの様態が今安定しているのは今まで自分の死んだ後の不安で圧し潰されそうになっていたのかもね~でも家が残ることを教えたからそれだけでも気が凄く楽になったのかもしれない。
爺さん曰く、俺が悪い未来さえも正直に教えたことについても凄く感謝をしていたとのことだ。
1回の邂逅以外に今回で2回目、たったそれだけしか会っていないのに何故かおセンチになってしまう俺・・・いや、泣かないよ!泣かないからな!!
覚悟はしていたが、それから1カ月経たない内に孫次郎さん、いや、三好長慶の死が爺さんより告げられた。
孫次郎さんから刀を一振り形見分けとして貰ったが、銘を「
何でも孫次郎さんの愛刀で亡くなる数日前に爺さんに「儂が亡くなったら形見分けとして同じながよし殿に渡してくれ」と言い残したそうだ。
俺が貰っていいものなのか解らないが、故人の生前の要望を無下にも出来ないので、俺が預かることとした。
爺さんには「何時でも返すから必要なら取り来てくれ。ただし、良い刀だし弟子に使わせようと思うから折れたりしたら、すまん」と言うと「お前の物じゃ好きにしろ。使うと言うなら長慶様も喜ばれよう」と言っていたので遠慮なく使うこととする。
女の子の弟子に「欲しい者いるか?」と聞いたら希望者多数でジャンケンで決めた。
今回の刀の行方は美羽に決まった。
そう言えば、三好家は2年間死を隠すこととなったようだ。
爺さんからは「そう言う仕儀じゃ、内密に願うぞ」と言われたがもとより誰かに話す気も無し。
死を隠すことは爺さんは反対したようであるが、多数決で負けたみたいなことを言っていた。
「長慶様に二年も葬儀お待たせするなど・・・」と憤っていたけど、天皇家も違う事情で同じ様な事が起こっていたからね~偉い人は偉い人で大変なんだな。
それにしても、戦国時代なのに多数決とか民主主義みたいなことやってんのか~とか思ったが、意見が纏まらないからであろう。
大鉈振るえるような三好長慶と言う中核を失った三好家は
後を継いだ三好義継も権力基盤が弱く物申せない状況とか三好の今後は暗いな。
本当に有能なトップの死と言うのは一気に組織の機能不全を起こさせるのかもしれないな。
武田信玄も同じ様な死を隠す事をしたと知っているのでこの時代の常識なのかもしれないと俺は考えたが、爺さんではないが死んで尚も葬式を待たされるなど遣る瀬無いの一言に尽きる。
霜台爺さんが何かを決意したような目であった。
馬鹿な考えを起こさないか少し心配したが、爺さんの
助けないのかと?・・・ははははは~そんなことをするのは
決意の目が気になるが、俺の口出すことでもないので黙って見送った。
俺は何だか気分が晴れないこともあり、旅をして気を紛らわせることとした。
行き先は以前に決めていた予定を繰り上げて奥平さんの所と三河のお友達に会いに行くこととした。
序にお猿さんの安否確認もしないとな。
弟子たちには気落ちしている俺が心配を掛けた様で美羽・真里から甲斐甲斐しく世話を焼かれ、莉里と春麗からは何時も以上に甘えて来られた。
序と言っては何だが、吉兵衛と咲耶が付き合いだした!!
まぁ薙刀指導とかで2人に任せていたのでそうなっても仕方ないのかもしれないと後付けの理由としてそう思ったが下の弟たちが先に国際結婚しそうである。
俺と寿斎は負けていられないぞと思うが、お相手が居ないので・・・暗い話はここまでとして、先ずは奥平さんの所を目指す予定とした。
これから畿内はキナ臭くなる。
いや、駄洒落じゃないぞ!てか、何処が駄洒落だよ!え?畿内の「きな」とキナ臭いの「キナ」を掛けたのだろうと?・・・いや、ただの偶然です!本当だからな!!はいはいって・・・信じろよ!!
おっと、それからそれから、九朗は何でも婚約者が居るとか何とか。
「この旅から戻ったら夫婦になります」とか頬を赤らめて言っている・・・それはフラグと言わないか?
いや、多分、気のせいだろう。
吉兵衛と咲耶はラブラブで・・・仲良く話しながら・・・
寿斎に「俺たちも早く相手を探さないとな!!」と言ったら「はぁ?」凄まれて大きい溜息と共に「兄上は鈍感ですね」と言われたが、それ以上に背後の凄い威圧が・・・気のせいだよね?振り向いたけど弟子の女の子たちが仲良く話しているだけだったよ。
まぁ身内の話はここまでとして、奥平さんの現在地は、奥山郷と言う三河の山奥の様だ。
あの人って山籠もり好きだよね~多分、令和の時代とかだと登山を趣味にしていそう・・・ぷぷぷ~想像したらおかしくなった。
ソロキャンプで火見詰めながら一人黄昏ているイメージが頭に浮かぶようだよ。
その様子をNETに上げて一人ほくそ笑む奥平さん・・・マジでしていそうだな。
さて、行く道中で尾張を通るしお猿さんの安否確認と行きたいが、そう言えば名前聞いてなかったな・・・まぁ運よく合えれば聞くこともあるか。
同じ飲み屋行けば会えるかもね~何せ行き付けとか言ってたし~
早々行き付けの店を変えることも無いだろうし、生きているなら会えるだろう。
会えなければ草葉の陰で冥福を祈っておこう!さらばお猿二号よ!おっと、まだ死んでなかったな、いかんいかん。
それから、三河に行くなら、勿論、元康君改め家康君の所にも陣中見舞いに行く予定。
彼とも実は文友です!!
平成風に言えばメル友な~彼からの相談色々と聞いてやったぞ!!
同じ「蔵人佐」だった誼と言う奴だ!!
何相談されたかって?
え~と信長と同盟結ぶこととか名前かな~
迷っていると言うから「信長・氏真どっちが倒せそう?倒せない方に味方した方が良くないかい」的な事書いたんだけど信長と同盟結んだから氏真安パイと判断したんだろうね~いい判断だと思うよ。
名前も「何か良い案ある?」的な事書いてたから「家」とか良くない?的に勧めておいた。
俺が勧めなくても家康になったんだろうし、迷うだけ無駄な時間に感じたから単なる後押しだよ。
決して歴史に介入したんじゃないぞ~
後、驚いたのが同じく文友の家康君の家来たち。
鍋ちゃんが元服してクラスチェンジして進化したらSSR
他の面々はまぁ知ってたけど・・・鍋ちゃんが日本一の武将になってしまった・・・驚き桃の木山椒の木だよ~え?古い?いやいや、戦国時代はこれ最新の言葉よ?ほら令和の時代でもあるじゃんか~「バビる~」とか、そんな感じの最新語よ~知らんけど。
その内に剣術の兄弟弟子に会いに行く時に三河にも行くからと言っておいたし、返事にも「何時でもお訪ねください」と書いてあったし、彼らと会うのも楽しみだ。
〇~~~~~~〇
今回は語りだけの回ですが、中々の情報量だと思います。
色々とまた考えているので続きもお楽しみいただけると良いな~と思っております。
さて、実はここからはまた有名な歴史イベントとリンクして色々と主人公がやらかす予定です。
ポイントは上に上げた人物たちですが、奥山休賀斎・羽柴秀吉・松平家康の3人とは必ず絡みます。
後、この3人以外にも数人絡む予定ですが、今回の旅の工程は尾張と三河で京に行く予定です。
この尾張と三河で誰に絡むか!!
こうご期待!!
数話試しにうんちく無しで書いてみようと考えております。
勿論、主人公は歴史に詳しい訳ではない設定ですので・・・書き辛いようであればまた元のスタンスに戻していきますので、宜しくどうぞ!!
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