AfterStory

「ふふっ」


 夏休み明け。若菜がご機嫌であることに気付いた真昼は、これはどうしたのかと聞いてほしいのだろうと思い口を開いた。


「何かいいことでもあったの?」


 真昼がそう聞くと若菜は、待ってましたと言いたげな表情をした。


「実は奏太くんから告白されまして、付き合うことになりました」


「へぇ~良かったじゃないの。城市さんの想いが奏太に届いたって訳ね」


「そうですね。真昼さんにはたくさん助けてもらいましたし、今度は私が真昼さんの恋を応援します。誰か好きな人はいますか?」


 若菜にそう言われた真昼は、頭に光希が浮かんだが、首を横に振ってすぐに消した。


「私、恋愛興味ないからそういうのいい」

「そうですか。では、興味がでましたら是非、相談してください」

「はぁ……もう行ってもいい? これから始まりそうな惚気話聞きたくないし、お腹空いた」


 お昼休みが始まってからかなり時間が経っていることに気付き若菜は、そうですねと呟く。


 お弁当を持って若菜と真昼は中庭へ移動すると先に待っていた光希は手を振っていた。


「おーい、2人ともこっち!」


「そんなに大声で言わなくてもいいわよ。恥ずかしいからやめて」

「お待たせいたしました、園川くん、奏太くん」


 女子が来て4人で一緒にお昼を食べることに。付き合い始めて二人っきりで食べないかと光希に言われたが、今まで通りみんなで食べることにした。


 若菜と一緒に過ごす時間は放課後にたくさんある。夕食は2人だしな。学校では友達とも食べたい。


「奏太、聞いたわよ、城市さんと付き合うことになったらしいわね」

「うん」


 聞いたとしたら若菜からだろう。ニコニコ笑顔で真昼に話しているところが想像つく。


「大丈夫ですよ、真昼さん。奏太くんの彼氏になったとしても私は真昼さんのお友達です」

「何言ってるのかわかんないんだけど。私は別に城市さんに好かれたいなんて思ってないから」

「それは残念です」


 若菜は微笑み、お弁当箱を開ける。今日のお弁当は彼女に作ってもらったので、中に入っているおかずは一緒だ。


「へ~、作ってもらったのか」

 

 光希はすぐに俺と若菜のお弁当が同じことに気付きニヤニヤし始める。


「渡さんぞ」

「へいへい。まーちゃんは俺に作ってくれたり……」

「しないわよ。何で光希に作らないといけないのかわからない」


 即断られてしまった光希はわかりやすいぐらいに落ち込み、真昼は大きなため息をついた。


 この2人は恋愛的な関係になりそうな気もするが、大変そうだな。


 真昼と光希のことを見ていると肩をツンツンとつつかれ、横を向くとそこには卵焼きを箸で摘まみ、それをこちらへ向けている若菜がいた。


「奏太くん、どうぞ」

「自分で食べれるんだけど……」

「恋人同士はこういうことをすると聞きました。やりたいのですが、ダメですか?」


 ズルいぞ、うるっとした目で上目遣いとは。断れるわけがないじゃないか。


「いや、ダメじゃない。いただきます」


 自分のお弁当にも卵焼きは入っているが、彼女が食べさせたいというので、1つもらうことにした。


「美味しい……」

「! ……やはりダメですね。私は、奏太くんに勝てません」

「? 俺、何もしてないけど」


 何がダメで、何に対して勝てないのかわからず、彼女の言葉の意味を考えようとすると若菜は小さく笑った。


「ふふっ、勝てないところを言うつもりはないです。私の弱点を知られてしまえば、奏太くんが何をするかわかりませんしね」








★あとがき★

ここまでお読みくださり本当にありがとうございます。初の幼馴染みラブコメでしたが、書き慣れておらず難しかったです。幼馴染みラブコメ第2弾?は現在執筆中ですので、お楽しみください。

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【完結】完璧お嬢様な幼なじみが、唯一勝てない相手は、どうやら俺らしい 柊なのは @aoihoshi310

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