向こう岸に行ってはいけない

「彼岸を垣間見る話」は大好物です。
本作はほんのちょっとだけ「みんな」の枠からずれている少年が、日常の枠からもちょっとだけずれてしまい非日常に踏み込んでしまうお話ですが、感情を抑えた筆致が物語に合っていて、スッと引き込まれました。
またたまたまリアタイで更新を追うことができ、毎日二回の更新をワクワクしながら待つのがとても楽しい体験でした。
自分はどちらかというと古い形式の(所謂重厚長大な)小説が好きなので、ライトノベルの文脈には全く詳しくないですが、本作は情景をすんなり想像でき、忌避感違和感なく、楽しく読ませて頂きました。

登場人物(道具含む)にそれぞれ自身の時間軸と興味があり、それがたまたまここで交差したのだとしたら、重層的なそれぞれの物語をもっと読んでみたいですね。個々の物語が独立して流れつつ、ある一点に集約され大団円を迎えるような物語が大好きなのです。