第3話

「せっかくだ。夫婦のその後の話もほんの少しだけしてみようか」

「ああ頼むよ。ここで終わっては気になるじゃないか」

「小鳥の世話しつつ、母親は祖父母となった親の屋敷にたびたび行くんだが、追い出されてしまうのさ」

「まぁ。娘さんのことを思えば当然かもな」

「だろ。その後は旦那に借金があることが発覚してね」

「結婚したときに気が付かないもんかね」

「酒を飲んだ勢いで契約してしまったみたいなんだよ」

「そりゃわからないな。結婚の途中からじゃな」

「そうなんだよ。結局別れることもできず一緒に借金を返済している日々さ」

「自業自得とはいえ、夫婦の連帯責任は本当に重いんだな」

「だな。どうか次の世代に借金を持ち越さないようにしてもらいたいものだな」

「さて、物語はここでおしまいさ」

「モヤモヤする話だったな」

「だろ。なかなかハッピーな物語はそうそうないのさ」

「……らしいね」

「私らができることは兄妹の幸せを願うことだけさ」

「ああ。お後がよろしいようで」

 噺家は頭を下げると同時に舞台は暗転した。

END

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噺家ばなし 完 朝香るか @kouhi-sairin

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