第17話 秘密

 ライカがまだ地下にいる時に、最後の大爆発が起きた。


 ライカは爆発そのものは防御してやり過ごしたが、城の地下はあらかた崩れ落ちてしまった。

 何とか生き埋めにならないように地面を掘り進んで、地上に出ることができた。


 ライカがようやく城の外に出た時、すでに朝になっていた。


 城を脱出してから分かったことだが、爆発自体は地下の範囲に収まったらしく、

 城の地上部分は爆発そのものではなく、その衝撃と、地盤の破壊により崩れ落ちたらしい。


 取り合えず、入ってきた時も通った城の前の広場を見る。

 シアや、助けた人たちがいるかと思ったが、誰もいない。

 まさか城に生き埋めに?と思ったが、

 地面に大きなマークが書いていることに気づいた。


 近づいて見ると、枝か何かで地面をひっかいて描いたものだ。

 簡単な線画で、子供の落書きのように顔が描いている。泣き顔のようだ。

 そのマークの真ん中にメッセージが書いている。


『取り合えず近くの村にケガ人を届けてくる!

 待ってなくてゴメンね!! シア』


「・・・フゥ」


 それを見て、ようやくライカは一息ついた。


 ケガ、とやらがどれくらいか、それは分からないが、

 シアがいるなら最悪の事態と言うわけではないだろう。


 一息ついたら、また別のことを考えなければいけなかった。


 あの時、シルフィア達を逃がすために一人地下に残ったライカだったが、

 脱出が遅れたのには理由があった。


 あの場に、赤命せきめいのファイレーンが現れたのだ。

 その時の事をライカは思い出してた。


 ◆


 今にも爆発しそうな城の地下で突然現れたファイレーンに、ライカは苛立ちを隠さなかった。


「消えたり出たり忙しい奴だな。

 やっぱりここでオレを抹殺する気か?

 返り討ちにしてやるぜ」


 ライカはそう言ったが、目の前のファイレーンがおそらく実体ではなく、魔術で見せた映像であることには気づいていた。

 正直無視してさっさと脱出したかったが、一応話だけは聞いておこうとした。


「いえ、この場であなたと戦うようなことはしませんよ。

 ただ、一つだけ確かめたいことがありまして・・・・」


 そう言うとファイレーンはライカに顔を近づけてきた。


「規格外のその力・・・」


 ファイレーンは思わせぶりに、しばらく時間をとって、そしてこう問いかけた。




「あなた・・・『転生者』ですよね?」


「!!」


 ライカのその驚きの表情を見て、ファイレーンは満足そうに微笑んだ――――。

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