26才の7月4日の未明 ソレのせいで私の人生は終わってしまった
朝霧吹雪
第1話 26才の7月4日の未明 ソレのせいで私の人生は終わってしまった
26才になってすぐの7月4日の未明、兄が突然部屋に入ってきて私のことを踏みつけ蹴り出した。寝ていた私は一瞬なにが起こったのかわからなかった。
「今度邪魔したら殺してやるからな」
ひたすら私を蹴る、でも私には邪魔した覚えなんかない。
ひとしきり蹴ったあと兄は部屋から出ていった。私はしばらく呆然としたあと家にいたら何をされるかわからない、「殺してやる」って言っていたし逃げるしかないと思い、震えながら着替えて財布と携帯がはいった鞄だけ持って部屋からでた。
パニックになっていたけれどこれだけは言わないとと思い「子供のころ私に性的虐待したの覚えてるからな!酷いことしたのに大人になってからも暴力かよ」と叫んでそばにあった何かを投げつけて大きな音をたててから逃げた。
夜中の2時だったので悩んだけれど友達に電話して事情を話した。幸いすぐに迎えに来てくれて部屋に連れて言ってくれた。パニック状態だったので気を使ってくれている友達にもびくびくしていた。夜中どころじゃない時間に迷惑をかけた上にびくびく震えてて触らせもしなくて本当に申し訳なかった。
そうして結婚が決まっていた私は楽しみにしていた男の子を流産した。病院で診察を受けたところもう子供を作るのは難しいとの診断。婚約者が私をなぐさめようと抱きしめかけたのを私は振り払ってしまった。
「君の兄貴を一緒にするな」
婚約者がそう言った。私は楽しみにしていた息子と婚約者を失った。そして子供はもう産めない。絶望した。
地獄だ、と思ったけどそれからもっとひどいことになっていった。
蹴られたあとからフラッシュバックが起きるようになった。蹴られてたこどはもちろん、過去に忘れていたことまで次々と私を襲ってきて何も食べられなくなった。がりがりになっていく私を友達は心配してくれたけど、正常じゃなかった私にはどうにもできなくてゼリーと飲み物だけなんとか摂取した。体重はみるみるうちに減っていった。
19才の時彼氏ができて恋愛感情らしいものを感じたとき最初に具合が悪くなった。その前に人を好きになったのは中学生のとき。両思いだったけど実感してなかっただけで、私は誰かに家族の話もできないし、自分の話もできないし、暗い秘密を抱えてなんとか学校に行って勉強を一生懸命してピアノを弾いているだけの怒りを抱えた人間で、男の子と深い人間関係を築くなんて無理だった。彼のピアノの音色も明るい性格も笑い声も大好きだったのに私には眩しすぎて早々に別れることになった。
私は少なくとも7才のときから実兄に性的虐待されていたし、8才から暴力も振るわれていたし持ち物も壊されたし、お金も奪われたり盗まれたりしていた。
自分が壊れてしまう予感がして自己防衛が働いたんだと思う。ほんとに好きだったのに夜になると実兄が部屋にくるからどうにもならなかった。私はものごころついたときから壊れていたのかもしれない。
父親はモラハラ、暴力、女性問題、仕事が忙しいと言って帰らないで麻雀、飲み歩き、ギャンブル、人間関係のトラブル、裁判おこされる、といったありとあらゆる悪事をやってきた男尊女卑のサイコパス。母は私が産まれる前から壊れていたみたい。
母は父にされたありとあらゆることを子供の時から私に話してなじっては、
「あなたはお父さんとそっくり」
と言って私を完全否定した。父親は人間じゃない、頭おかしい、生理的に受け付けない、そう言った直後に私
「あなたはお父さんそっくり」と言ってきた。
なんでさっさと離婚しなかったんだろう。
「私を産む前に離婚して欲しかった。私なんて生まれてきたくなかった」
と言ったら兄を妊娠中に別れるはずだったけど逃げ損ねたと言われた。ほんとに私なんて産まないで欲しかった。つらい思いばかり。
26才の7月4日の未明 ソレのせいで私の人生は終わってしまった 朝霧吹雪 @asagirifubuki
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。26才の7月4日の未明 ソレのせいで私の人生は終わってしまったの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
「俺」の話/teikao
★3 エッセイ・ノンフィクション 完結済 1話
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます