第2話

ことの発端は、大学時代のバンド活動で、考えの違うBと口論になった。

「オレ、ミスターチルドレンなんて歌いたくない」が、口論の原因だった。そして、取っ組み合いの喧嘩になったが、剣道をしていたBは、強くて、シンイチは、鼻血まみれになった。

 女子高校生が怒っていた。

ーいきものがかりの『ブルーバード』を聴きたい

ーEXILEの「Choo Choo Train」を聴きたい

ー倖田來未の「キューティーハニー」を聴きたい

ー96猫の「Be crazy for me」を聴きたい

ー大塚愛の「さくらんぼ」を聴きたい

 なんて泣き始めた。

 シンイチは、歌手だ。

 いくら、売れない歌手と言っても、それくらいなら歌える。本当は、シンイチは、「Music is lovers」が、持ち歌だから、それを歌いたいのだが、知らないと言われる。

 そして

「~笑顔さく、君の~」と大塚愛の「さくらんぼ」を歌い始めた。さらに、いきものがかりの『ブルーバード』を歌った。「~いざなうのは、遠い遠いあの声」と歌った。さらに、「make me shine on you」と歌った。これは、上白石萌歌や向井理がドラマに出ていた『パリピ孔明』の主題歌だった。

 みんなは、暖かい手拍子を送った。

 そこに、一人の60代の男性が、動いた。

「オレは、たこ焼き屋をしているから、今から作る」

 と言った。

 更に、もう一人の50代後半の男性は

「オレは、散髪屋をしているから、鋏があれば、髪を切る」

 と言った。

「オレは、大工仕事を職業としているから、大工仕事をさせろ」と言った。

「オレは、相撲部にいたから、雪下ろしは任せて」と言った。

ーあんたは、歌が歌えたし、身体は、弱そうだから、寝ておけ

 と言った。

 そこに一人のさっきの女子高校生が、こう言った。

「お兄さん」

「はい」

「歌ってくれてありがとうございます」

 と涙目になっていた。

 よく見たら、女優の上白石萌歌に似ていた。

 …

 避難生活は、1か月で終わった。

 避難生活の仲間は、「シンイチは、よく歌ったし、踊ったし、最後は、お笑いまでしたじゃないか」と言った。

 雪が降っていたが、何とかなった。

 東京や大阪からも、救援物資があった。都立高校の先生をしているとかいう40代の男性も雪の中、慣れない道、トラックで来たのだ。

 お医者さんや看護師さんも頑張った。

 精神科のお医者さんや看護師さんも、心のケアにあたった。

 残念ながら、亡くなった人もいた。

 シンイチは、帰る日になった。

 北陸新幹線A駅に、みんなが、来た。

 その時、数名が、そこに来た。

 いきものがかりの『YELL』を歌い始めた。

~サヨナラは悲しい言葉じゃない

 と言って、シンイチは、涙が出た。

 A駅に、北陸新幹線かがやきが、来た。

「歌手、頑張れな、シンイチ!」

 今度の頑張りを、アヤメも知っていた。202*年には、夫婦に、シンイチとアヤメは、なる。アヤメも、ずっと、祈っていた。

 アヤメは、マネージャーになる。

 この地震の数か月の避難生活が、シンイチたちを成長させたのだった。<完>

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miracle live in 2024.1.1 坂中祐介 @simichi0505

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