俺と神さまの異世界物語

@shigeru000furuse

第1話 娼婦の街角・吹雪のビル街

    ーー書きかけですみません。途中から入りました。


 それから二日ほどたったころであろうか、また異次元世界へと入り込んでいた。

 俺は暗い道をひたすら歩いていた。遠くに明るく街並みが見えた。洋風の洒落た建物が建ちならび、何となくウキウキした俺は、しばらくキョロキョロと眺めつつ見歩き散策し、とあるモダンな建物の二階に上っていった。そこはブティックまたは洋風雑貨屋といったところだろうか。

 すぐに目に入ってきたのは、暇そうに話しながら時間を潰している二人の女たちだった。あまりにも色っぽいので娼婦なのかなと思ったが、もしかしたら普通の女の子たちなのかも知れない。ただ、服装がけっこう派手で高そうな装飾をジャラジャラと着けていて、パンツが見えそうな短めのワンピースが、男心をくすぐった。

 そのワンピースは、コバルトブルーの素地で、渋い色の花柄、あるいは植物の蔦のような枝柄だったと思う。ふたりとも長い髪が魅力的なスラリとした女性だった。

〈これは、なにげに書いているが、すべて夢ではなく金縛りから来る異次元体験の流れである。従って眼の前に見えるものは日常のように鮮明に見え、むしろ現実よりも極彩なのかなと思えるくらいだ。であるから、今でも青い柄のワンピースをはっきりと憶えている。そして立体感も感触も現実と変わらないのだ〉


 見惚れてばかりもいられない。俺は当然ながら女に襲いかかる。 

 がしかし、女はまったく抵抗しない。まるで俺が最初から来るのをわかっていたのではないか。

 女はまったく、なにをされても動じず、顔も無表情のままだった。

 俺はそんなこたぁ知ったこっちゃない。寸暇も惜しまず襲いかかった。

 女はちょうど商品棚のアクセサリー類を見漁っているので、俺に背を向けている。まさにこれは、あの源義経の「鵯越えの戦い」にも通ずるようなシチュエーションだ。平家の公達の背後からおケツを狙ってやったのだ・・・?

 ーー女の背後から襲いかかる。

 女の美しい長い黒髪が揺れる。

 さらに激しく動かすと、女の艷やかな髪が、強風に揉みくちゃにされているように激しく揺れた。

〈この時のシチュエーションは今でも憶えている。ふたりの腰の動きと連動して、猛り狂った彼女の黒髪が俺の顔にビシバシ当たっていて、時折その激しい攻撃を交わしながら攻め立てたのだ。その髪の毛の匂いさえも感じ取っていたのかも知れない〉

 その時俺は、現実空間のことはまったく忘れていた。ひたすら女との行為に没頭していた。ーーというのも、この女と二度と会えるかどうか確信が持てなかったのだ。

 すると女は、「あ、帰ろ・・・」と言って、すっといなくなった。

 ーー面食らったのは俺のほうだ。あともう少しだったのに、対象物が消えたのだ。用を足していて、いきなり便器を取られたような感覚だ。

 俺はすかさず追いかけた。あの時、出口の階段は右の隅のほうにあったので、そこに飛びつきながら階段を駆け下り、さらに地下階へ下りていく物音がしたので、そのまま身体を巡らして下を向くと、女が逃げるところだった。

 いや、女も俺も悪いわけではない。女は用事を思い出したのだろうし、俺はもう少し女と思い出を残したかっただけだ。

 俺は女を捕まえたと同時に、車状態になって階段を転げ落ちていった。とはいってもこの世界では、さして痛くはない。万事が三次元世界とは違うのだ。

 たしかに女は俺の手中にいたのだが、不思議なことにするりと抜けていなくなった。それと同時に真っ暗闇の中から出てきた、別の女にキスをされた。愛情たっぷりなキスのように感じた。

 俺はなにがなんだかわからなくなった。なんで女が消えたのか?なにが不服だったのか?でまた、なんでいきなり闇のなかから別の女が現れてキスするのか?

 狐に化かされたような面持ちで現実世界へと帰った。

 というか、キスの衝撃で現実に帰ったようだ。


                         03/01/2024  04;54

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