40. 旅立ちのとき
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
◇◆◇◆アイオライト
ヘメトの街に僕がたどり着いたときにはすでに寄生体に襲われていた。
全速力で駆け抜けてきたが間に合わなかったらしい。
それでも、衛兵や冒険者たちの活躍により市民への被害が出なかったことは幸いだ。
衛兵などには多数の犠牲者が出たが、それも仕方なしとするべきだろう。
「……ふぅ。こんなところか」
「はい。街もだいぶ復興してきました」
ボクたちは街に残り破壊された建物の撤去などを手伝っていた。
アレクもランプたちも力仕事は得意だからな。
街の者たちも予想より早く片付いたと大喜びだ。
「それでは、そろそろこの街を出発するときだな」
「そうですね。私たちにできることはもう終わりだと思います」
「ところで、本当にまだ付いてくるのか? ラズももうDランク冒険者になったんだろう? 一人前と認められたんじゃないか?」
そう、ラズは街を守ったひとりとしてDランク冒険者へ昇格することとなった。
Dランク冒険者ともなれば一人前と言われているし、もうボクがいなくても大丈夫だろう。
そう考えていたのだが、ラズはまだボクの旅に付いてくるという。
どういう風の吹き回しか?
「確かに私はDランク冒険者になりました。でも、スタートラインに立ったばかりなんです。もっとアイオライトさんから知識を盗み取り、自分の力に変えていかないといけません」
なるほど、考えはしっかりしているな。
それに、Dランク冒険者になりたてでまだひよっこなのは変わりない。
もうしばらくボクの旅に付き合わせてやろう。
「それで、アイオライトさん。次はどの街に向かうんですか?」
「国を越えてドルイドの国に向かう。しばらく顔を出していないし、ちょうどいいだろう」
「はい! わかりました!」
こうしてボクの旅は今日も続いて行く。
羊三匹と馬二頭、それからひよっこ冒険者を連れて。
さて、次はどんな厄介ごとが待っているのやら。
伝説のモンスターテイマー、羊三頭を連れて今日も行く あきさけ @akisake
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