遠くから見つめてる
立花くんと横峯くんは仲がいい。二人の教室での立ち位置は、二軍って感じ。激しく自己主張をするわけでもなく、かといって引っ込み思案とかではない。普通の人たち。でもよく見たら横峯くんは可愛い系の顔立ちをしていて、からからと笑い、享楽的な発言をしてクラスを笑わす時があったりする。立花くんは端正な顔立ちで、真面目って感じ。基本的に横峯くんの言ったことを微笑んで受け止めてる。優しそう。直接しゃべったことはないから、よく知らないけど。でも仲良しの男子をウォッチングするのが趣味の私としては、観察に最高の二人だった。
「立花、次移動教室だよ」
横峯くんが立花くんの席の前に立ってそう言った。私も移動しないとな。と思いつつ、横目で二人を観察する。立花くんがじっと横峯くんを見る。な、なんだ??
横峯くんも立花くんを静かに見ているみたいだった。沈黙の時間。なのに二人とも気まずそうじゃない……というか、何か濃密な何かを感じる。うっとり、というか、ほわほわと温かい感じ。こ、これ……。
はっと我に返ったような顔をして苦笑して、立花くんが席を立った。そして何事もなかったかのように、二人は談笑しながら部屋を出ていった。なんだったんだ……私は衝撃でしばらくぼうっとしていた。そこに友達がやってきて、「どしたの、春? 移動教室しよ」と声をかけてくれたから、私は席を立った。すごい……なんだか二人って、私が最初から思っていたみたいな友達関係以上の何かを感じる。これからもウォッチングしなければ……。
「春ぅ、また男子見つめてたんでしょ」
「はっ、バレた」
「観察も大概にしなよ、それより私との時間を大切にしてよ」
「分かった、そうするよぅ」
友人のラブコールに私は反省した。観察もほどほどにしよう。でもあの二人は今後も見ていこうかな……。迷惑にならない程度に。とかく、観察者はその存在を知られてはいけないのだ。
いつもと同じ はる @mahunna
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。いつもと同じの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます