私がTRPGとどう出会い、どうハマっていったか
雨蕗空何(あまぶき・くうか)
私がTRPGとどう出会い、どうハマっていったか
TRPGという存在を私が最初に知ったのは、おおよそ二十年前、中学生のころでした。
その当時、学校の特別授業みたいなやつがあって、私は俳句や短歌や小説を書いたりする授業を選択しました。初めての小説執筆経験です。
で、そのとき書いた小説が、異世界にさらわれた双子の妹を探し出すために、主人公も異世界に行って剣や魔法のアイテムを駆使して冒険をするっていう、今なら異世界転移モノに分類される作品ですね。
なお当時ハマっていたゲームは「風来のシレン」でした。
で、それを読んだ友人が、「こういうの好きならこれも好きなんじゃない?」と貸してくれたのが、小説版ロードス島戦記で。
それのあとがきで、この作品がTRPGをもとにした物語だと知ったんですよね。
これがTRPGとのファーストコンタクトでした。
そこにどう書かれていたか、文面を正確には覚えていないのですが、確かテレビゲームのRPGの前身で会話で遊ぶゲーム、みたいな書かれ方をしてたのかな……?
そのときの私は、「テレビゲームがない時代にもRPGってあったんだなー」みたいな感想を持った覚えがあります。
その当時の感覚として、コンピュータRPGの普及ですたれた昔の時代の遊びなんだなと思ってました。
余談ですが、コンピュータRPGが出る前はTRPGのことを単にRPGと言っていたそうです。携帯電話がない時代に固定電話のことを単に電話と言っていたみたいに。
そして時は過ぎ、二〇一〇年代、大学生。
そのとき私は、夏休みの長い時間を読書についやすべく、図書館によく通っていました。
小説のほか、エッセイを読んだりもしましたし、将棋や囲碁もたしなむほか、大学生らしく麻雀を覚えたので、それらの指南書を読んでみたり。
この将棋や囲碁や麻雀の本、図書館での分類は790番ゾーンになるのですが。
この近い分類に、トランプやら花札やら、いわゆる室内ゲーム・テーブルゲームがあるわけです。
で、そこに、あったわけです。
そのコーナーをぶらぶら見ていた私は、ふと毛色の違う雰囲気の本を見つけました。
タイトルや装丁が、明らかにテーブルゲームの指南書って感じじゃない。手に取って表紙を見ると、(その当時の)現代的なアニメ調の、学生服の女の子の絵。
そのときの私は、「なんでこんなところにライトノベルが?」と思いました。
で、手に取った流れで、中身を見てみたわけですよ。
そして知ったわけです。それはライトノベルではなく、TRPGのプレイ風景を文字起こしして本にした、「リプレイ」と呼ばれるものなのだと。
そのときの私の衝撃は、すさまじいものでした。
何せ私の知識では、TRPGは「ドラクエ」以前の存在の、現代ではすたれたと思っていたものだったのです。
それが今風のデザインのキャラクターで飾られた本を出していて、しかもいわゆる剣と魔法の古典的ファンタジー世界じゃなく、現代日本を舞台に特殊な能力を持った人間が密かに戦う、いわゆる現代伝奇モノの世界観で。
そして何より、読んでみて、おもしろい!
自分の知識と感覚がことごとくくつがえされる感覚に、私は一気に引き込まれました。
あの日、図書館でそのリプレイ、「デモンパラサイト・リプレイ 悪魔憑きの目覚め」に出会ってなかったら、私はTRPGとずっと縁がなかったかもしれません。
このおもしろさに引き込まれた私は、TRPGについてガンガン調べました。
コンピュータRPGの普及後も、別の遊びとして独自の進化を遂げており、今でもTRPGを遊ぶためのイベント「コンベンション」が開催していることを知ったのです。
実際に遊んでみたくてたまらなかった私は、近場で開催されるコンベンションを調べ、勢いのまま単身乗り込んだのです。
その当時、TRPGのルールブックはおろか、TRPGやるなら必須のアイテムであるダイス(サイコロ)すらひとつも持たずに向かいました。猪突猛進が過ぎる。
そんな状態の私を、他の参加者のみなさんは優しく受け入れてくれました。ダイスも貸していただいてありがとうございました。
あのとき遊んだ「ゲヘナ」は、今でもあらすじや自分のキャラを覚えています。
そうして、マイダイスをそろえ、コンベンションに何度も顔を出し。
けれど私をTRPGの楽しさに引きずり込んだ「デモンパラサイト」を遊ぶ機会はなく。
なら自分で用意するしかないと、ルールブックを買いそろえることにしました。
その当時すでに展開が終了していたので、続編シリーズの「パラサイトブラッド」を購入。
そしてTRPGの遊び方には、テーブルを囲んで対面で遊ぶ方法だけでなく、インターネットのテキストチャットなどを用いて遊ぶ「オンラインセッション」という方法があることも知りました。
今なら旧ツイッターなどでセッション募集がされてたりしますが、当時はまだSNSが未発達で、個人サイトが台頭していた時代。
TRPGシステムごとに有志のサイトが立ち上げられ、そこにそのシステムを遊びたい人が集まるような感じでした。
なので私は、パラサイトブラッドを遊べるサイトを訪れ、そこでズブズブとTRPG沼を堪能しました。
その後、他のシステムも買ってそちらのオンラインセッショングループに顔を出したり。
ツイッター募集に参加して遊んでみたり。
コンベンションも並行して楽しんだり。
時が過ぎ、環境が変わった今では、以前のようにがっつりとは遊べませんが。
TRPGで遊んだ日々は、私の創作活動にも影響を与えてくれましたし、私の人生の大事な糧となっています。
あのときTRPGに出会えてよかった。そしてこれから出会う人たちにも、充実したTRPGライフを過ごしてほしいなと思います。
その一助になればいいなと願って、長編小説「剣と魔法の異世界でTRPGを。」を、執筆しています。
これを読んでくれたあなたにも、願わくばよきTRPGとの出会いを!
読んでいただき、ありがとうございます。
私がTRPGとどう出会い、どうハマっていったか 雨蕗空何(あまぶき・くうか) @k_icker
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます