私の世界は曇りガラス越しのようにぼやけて見える。
何をしても、何をされても実感が持てなくて、無為な人生がなんとなく確定しているようで、ただ、どうしようもなかった……
そう、あの子に出会って、殺されかけるまでは。
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ゾクゾクとした。
これ以上にこの作品を語ろうとすると、野暮ったい気がする。
怖いからではない。ASMR的な抗いがたい快感に近いものだ。
彼女はずっと淡い微睡みの中にいた。押し込められていた。
やっと、目覚めることが、明瞭を生きることが出来たのだ。
この経験を糧として、歪んだ彼女は進んでいくのだろう。たとえ、その糧が同じ程度に歪んだ行為の結果だったとしても。