降参
ナナシリア
降参
「どうせ、途中で辞めるし」
勉強しよう。せっかく久々にそういう気分になったのに、これまでとこれからを見据えて彼はそれを放り投げた。
彼はこれまで、勉強しようと思って、勉強することが何度もあった。ただ、いつも長続きせず、大体一カ月ほどで辞めてしまう。
その理由は様々で、例えば面白いゲームを見つけてしまったとか、例えば勉強する気力が湧かず一日サボってしまったとか、そういうことが多かった。
その経験で、彼は今から勉強してもどうせすぐ辞めてしまう、と始める前から諦めてSNSを開いた。
――例え諦めたとしても、最初からやらないよりはマシだ。
タイムラインを流れる呟きの一つが目に留まった。
「確かに」
途中で諦めたとして、努力した経験が消えることはない、とは昔からよく言われることだ。
実際、彼もその主張には同意する。
それでも、彼は動かない。
この局面になって、彼はやっと気づいた。
――ああ、もう。俺はどうしようもないんだ。
降参 ナナシリア @nanasi20090127
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