第1話 『 お兄ちゃん、遭難する 』

第1話 『 お兄ちゃん、遭難する 』




目を開くと草木が生い茂る森の中にいた。

今の状況を理解出来ずにいた。 これまでの状況を確認する様に思い出す中で、一番優先しなければならない事に気づき、はっと息を飲み咄嗟に下を向く。

そこには、俺の腕の中で庇う様に守っている、妹がきょとんとした顔で俺を見ていた。

妹が居ることに安堵の息を漏らす。

少し落ち着き、周りを見渡し状況を確認する。自分達が先程までいた公園ではなく、何処か分からない木々が生い茂る森の中にいて、自分達が危険な状況だと理解する。

正直、俺は焦っていた。

何としても妹だけは守らなければいけない。

その焦りの感情が伝わったのか。心が俺に抱き着く力を強め、顔を上げて不安そうに声を掛けてきた。

「に……にぃにぃ……」

心の声は少し震えていた。心も俺の焦り考え込む顔を見て、不安を感じていた。

俺はすぐさまいつもの顔に戻り、いつもより優しい声で心に話しかける

「大丈夫、お兄ちゃんがついてる。お兄ちゃんが心の事を必ず守るから。」

俺も心を抱きしめ返すと心は少し安心した様子だった。

その様子に俺も安心し掛けたが、少し離れた草むらの中から音がすることに気が付く。

そちらに顔を向けると、緑色の奇妙な140cmぐらい人型の化け物がいることに気がつく。

すぐさま立ち上がり、妹を自分の背後に隠して化け物と相対する。

「ギッギャッッ」

化け物は有無も言わせずこちらえ襲いかかってくる。目の前まで近ずいてきた化け物は、右手に持つ質の悪そうな木の棍棒を振り被り殴りかかろうとする。

俺は咄嗟に、左手で化け物の棍棒を持つ手に裏拳を放ち、棍棒ごと化け物の手を弾き飛ばす。化け物の手からボキッと鈍い音と自分の左手に何かを砕いた様な感触がする。

「ギャッ………!」

化け物は驚き、あらぬ方向に曲がった手首を痛がっている。

驚き固まっている化け物の気味の悪い顔面に、思いっきり右の拳で殴りつける。

「ッ……!」

化け物は声にならない声を漏らすと、化け物顔面はグッチャと潰れ、頭が吹き飛んでいた。残った頭の無い体は糸が切れたように倒れていく。

化け物が動かなくなるのを確認して、後ろを振り返る。震える心が泣きなながら抱き着いてきた。

「ぅ………ぅ……にぃっ…にぃっ……っ!」

片膝をつき、泣く心を抱きしめ頭を撫でる。

出来るだけ優しい声で言葉をかける。

「大丈夫、怖いやつはお兄ちゃんがやっつけたから」

しばらく心を慰めると、心は泣き疲れて眠ってしまった。今は心を連れて一刻でも早く、この危険な森の中を抜けなければいけない。

眠る心を優しく抱き抱え、立ち上がり森を抜ける為に歩き出す。




▽▽▽▽▽


拝啓 プロローグ、第1話を読んでくださった読者様


プロローグ、第1話ともに誤字脱字が多くご迷惑をおかけ致しました。

今後よろしくお願いします。


追伸


プロローグ、第1話ともに思ったよりも短かったので第2話以降長くしていこうと思います


青猫侍



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