この世界は歪んでいる。

天夢白

第1話【天罰】


この世界は、色々な個性を持った人間が何億といる。

_私は"ソレ"が欲しかっただけ。

奪ってしまったらしい。私はこの手で。

今は、その処罰を受ける所だ。


目の前に裁判官がいる。

何故?私は何をした?何も思い出せない。

「有罪」

裁判官がそう言い放った。

冷や汗が出る。私の口が開いた。

「ちょ、ちょっと待て!」

思わず手で口を塞いだが、もう取り返せないと思いそのまま息を吐く。

「私はまだ15だぞ!私が何の罪を犯したと言う!」

裁判官達が呆れたようにこう言った。

「君は殺人未遂容疑をかけられている。今更そのような事を言っても、時間は巻き返せない。」

思わず下を向いた。

私が、殺人未遂の容疑者だと?記憶が無い。

「懲役十年の罪を言い渡す」

「………」

何も言えなかった。いや、何も言わなかった。

ここでグチグチ言っても、また罪という荷物が乗せられるだけだ。

大人しく、牢屋で過ごすしかない。

その後、詳細を聞かされた所主にこうだ。

私は真顔で人の命を奪ってしまったらしい。それを見ていた目撃者の命も奪おうとしたが、たまたま通りがかった警官が私を捉えたらしい。

「……そうですか」

この罪を犯した回数はこれで二回目。二回目は、今言い渡された罪だ。

一回目は、親が邪魔だったから奪った。私の趣味、音楽を妨害した。勉強しろと言い放った。だから命を奪った。それだけの事だ。


十年後、私は釈放された。

久しぶりに見た外の世界は、黒く濁っていた。

世界はまだ私を許してないんだ。そう思った。

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この世界は歪んでいる。 天夢白 @amamujiro

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