第9章10話 魂送りの少女
(……。妙だな……)
エヴァンダールは眉をひそめた。
確かめようとして
爆発的な
「ぐっ……!? 何だ、あの光は……っ!」
「きゃあっ!?」
「! カトリーナ……!」
──……歌が。
エヴァンダールは、その心安らぐはずの歌にむしろ
本来は、死者の魂の
(どういうつもりだ? あの小娘、血迷ったのか!?)
今、
あるいは──
エヴァンダールは口の
「……はははっ! 命
「エ……エヴァ兄様、
「!? ……どうした」
魔方陣を通して発動させていた魔術を、信じがたい力で押し返されて。
──
ただ押し返しているのではない。
これは……!
「私の
「なんだと……!?」
エヴァンダールも目を
……なのに、それが現実に、目の前で展開されている。
「なんだ、あの術は。ただの魂送りではないのか!?」
「くっ……! 兄様、このままじゃ
「カトリーナ!?」
魔方陣の燐光を塗り替えた清浄な光の中──
逆光になっているはずなのに、エヴァンダールは確かに、こちらを凜と
その眼差しが、エヴァンダールのことをまっすぐ射抜いた。
「もうこれ以上、あなたの好きにはさせないっ!」
「──!? 奴隷の小娘ごときが……何を!」
そして、もうひとり──
聖性の光の中から、何かが飛び出してくる。
その正体を見切って、エヴァンダールは真っ向から迫る剣を受け止めた。
「……っ! アスター・バルトワルド!? 亡者になったはずじゃ……!?」
……
カトリーナの
ギリッと奥歯を噛んだ。
あんな奴隷上がりの小娘に、
「亡者にでもなっておとなしく我が配下に下ればいいものを……。そんなボロボロの身体で何ができる。なぜそこまでして刃向かう、アスター・バルトワルド!」
「俺がまだ……生きてるからだっ!」
魔術を受けた
双頭の獅子の剣と不死鳥の剣が、真っ向からぶつかって火花を散らした。
(第九章・了)
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