第2話
「なら、運動部はどう?」
午後の授業も終わり、放課後になった加奈子たちは駅から少しだけ離れた喫茶店に来ていた。
美雨の協力もあって課題は無事に終わり、彼女たちは何の部活を始めるのか話し合っていた。
「私は万年帰宅部だから運動部はちょっと無理かも...」
「私はいいと思うけど、でもそれなら今ある部活に入れば十分じゃない?」
何か新しいことがしたいと言い出した加奈子に付き合って、それぞれ何をやるのか案を出し合ったが、なかなか決まらずにいた。
「今まで気にしたことなかったけど、うちの学校結構いろんな部活があるんだね」
加奈子はスマホで学校のホームページを覗きながら言った。
「でも見た感じだと普通の部活ばっかりだ」
「あなたは部活に何を期待してるのよ」
美雨は呆れた目で加奈子を見た。
「え~?オカルト部とか囲碁サッカー部とか、面白そうなやつ」
「はぁ、冗談ばかり言ってないであなたも真面目に考えなさいよ」
「真面目にって言っても、だいたいよくあるような部活はここに全部書いてあるけど...」
加奈子は美雨にスマホで開いた学校のホームページを見せた。
「...たしかにそうね」
美雨はホームページを見ながらどうするべきか思案した。
「ね、そうでしょ?新しく部活を作るって言っても、これならもう同じ部活があるって却下されちゃうんじゃないかな?」
「うーん、律子は具体的にはどんな新しいことがしたいの?合唱部にいたんだから音楽がやりたかったとかさ...。ただ新しいことがしたいって言われても何も思いつかないわ。」
「......ネオ合唱部」
「なんて?」
「私はネオ合唱部がやりたいの!!!!」
まさかそんな答えが出てくるとは思ってもみなかった美雨は律子の答えにぽかーんとした表情をした。
「あははは、ネオ合唱部!なんかすごそうだね~」
愉快そうに加奈子が言った。どこらへんが”ネオ”なのかは全く分かっていなかったが、加奈子は既に乗り気のようだ。
「一応聞いておくけど、ネオ合唱部って具体的に何をする部活なの?」
意味が分からないと顔をしかめながら美雨は律子に尋ねた。
「それを一緒に考えてほしいな、なんて...」
本人も自分が相当な無茶ぶりをしている自覚があるのか、言いづらそうに口をもごもごとさせながら答えた。
「はぁ...。まだ付き合いが短いけど、話せば話すほど貴方のことが分からなくなるわ」
こめかみに手を当てて美雨は愚痴を漏らした。
「まぁ、いいわ。律子のふしぎは今に始まったことじゃないし。それより、ネオ合唱部を作るのはいいとして、それならそれでどうして合唱部をやめたのか本当の理由くらい話してよ」
カルテットソング べっ紅飴 @nyaru_hotepu
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