ここから始まる異世界人生

星見守灯也

ここから始まる異世界人生

 地獄というには生ぬるく、天国というには気持ち悪かった。

 呼吸がまともにできてないことに気づき、ひどく苦しくなって大きく口を開けた。

 頭が痛い。もう嫌だと思った。早く終わって楽になってくれ。

「お、生きてるな」

 誰かが叫ぶ声がした。その言葉で、まだ自分が生きていることを自覚する。

「ああ、よかった。息がある」

 なにが「よかった」だ。俺はこんなに痛くてしかたないのに。

 ……目が覚めた。そこにはおよそ現代日本人女性とは思えない格好のやつがいた。

「なんだ、こいつ……」

 思わず口からでた言葉に自分で驚く。日本語じゃなかった。まるで脳が別人になったようだ。

「おう、街まで運ぶぞ」

 今度は男の声。体をつかまれたのか、がくんと首が折れる。

 なにがあった? そんなことを一瞬考えたが、なにもわからない。

「絶対助けるから、安心しろ」




 次に目が覚めたのはベッドの上だった。窓から光が入ってきて、まぶしさに目をすがめた。

 誰かの家らしくはない……古い外国の宿屋のような。そう、ゲームに出てくるような宿屋だ。

「なんだこれ……」

 俺はうめいて身をよじろうとして、動けなかった。なにやったんだ俺。

 ……そうだ、俺は死んだはずだ。少なくとも、死のうとして飛び降りて。

 これがあの世か? 天国とはずいぶん貧相なものだ。まあ、地獄じゃないだけいいが。

「あー、まだ起き上がらないで」

 さっきの女の声。珍しい色の髪と目の色。ほんとにゲームみたいな人だ。

「ウェインの治癒魔法だって、そんなに効かないんだから」

「そんなにってこたないだろ。首つなげただけでもえらいだろ」

「はいはい。えらいえらい」

 ムッと口を曲げた男のほうもまた鮮やかな髪色だった。……魔法?

「ごめんなさいね、もうちょっと動かないでもらっていい? 治癒できなくなっちゃうから」

 俺は何かを言おうとして、何から聞こうか考え、あっさりとその気を失った。

 なんだかひどく疲れている。もうなにも考えたくない。

「はい、もう眠っちゃって。安静にしてれば明日にはちゃんとくっついてると思うから」

 そう言われる前から、まぶたが重くて耐えられなかった。

 ずるずると眠気に落ちていく。今度は苦しいとは思わなかった。






 翌日、目が覚めると意外と頭がスッキリしていた。

 死のうとしたのはぼんやりと覚えている。でも……なんで?

 記憶をたどろうとして、その理由が二重になってぼやけていることに気づいた。

「俺は……仕事してて……休みもなくて、もういいかって……」

 そう、確か俺は働いてて、ずっと家にも帰れなくてふらふらと飛び降りたんだった。

 楽になりたかった。考えることも疲れて、全てがどうでもいいと思った。

「だけど、なんだろこれ……」

 それなのに、もうひとつ記憶がある。俺のようで俺ではない記憶。

 儲かる話と騙されてもっていた金を全部取られてしまった。それで首を吊った。

 じっと自分の手を見る。自分に似た男のものだが、少し違うような気がする。

 もしかしたら、俺は死んで誰かの体のなかに入ってしまったのかもしれなかった。

 それならこの体の持ち主は死んでしまったのか。それとも……俺の体に入ったのか。

 ……考えてもわからない。俺はゆっくりと起き上がった。首はもう、ぐらついたりしなかった。

 ガラスのない窓から外を見る。外に見えるのはヨーロッパの風景画にありそうな建物だった。

 それに魔法……ここは地球ではない別世界なのか。




「ああ、起きた?」

 昨日、見た男だ。女も一緒だった。にこにことしてまだ起き上がる気のない俺を見ている。

「よし、首もついたな。よかったよかった」

 よかったと言われても……と思ったところで、今後についての不安がわきあがる。

 知らない土地でどうやって暮らしたらいいんだろう。

 この体が何か知ってるかと記憶をたぐるが、どうもモヤがかかったようではっきりとしない。

「ねえ、大丈夫?」

「呼吸できなかったせいかもしれない」

 心配そうな二人に、やっと落ち着いて何かを言わなければという気持ちになった。

「ああ、ええと。二人が助けてくれたんですよね?」

 口から出たのは日本語ではない。英語でもないようだ。こういう記憶は残っていてくれて助かる。

「おお。そうだ、おれはウェイン、こっちはセシャ。……腐れ縁でな」

「私が見つけたんだからね」

「治療したのはおれだ」

「……ありがとうございます」

 生きていてよかったとは思えない。

 でも、善意で助けられたのは久しぶりだったから、お礼を言わなきゃと思った。

「礼はいいよ。これから生活するあてはあるの?」

「いや……」

「そっか。……まあ、そりゃそうか。いいよ、少しは助けになれる。生まれ変わったつもりでいな」

 ……「生まれ変わったつもりで」か。

 この体の中身はどうしてるんだろうな。……どこかで助かってるといいなあと思った。




「名前は……カルムだったと、思います」

「記憶があまりないのね? 家族のことも? 仕事のことも?」

 事態がややこしいので、とりあえず記憶喪失だということにした。

 この体の名前は思い出せたが家庭のことも仕事のこともぼんやりとした霧の向こう側だ。

 そのかわり、自分のことは少し覚えているようだ。

「仕事……プログラマ……ってわかりますかね?」

「なんだそれ」

「えーっと……コンピュータに……」

 どうも、この世界にない言葉は通じないようだ。

 この世界にしかない地名や人名が俺には聞き取りにくく感じるように。

「もしかして魔法設計師? 魔法式をいちから作るような」

「いちからというか……俺はあるものを動かすだけで……」

「じゃあ、ゴーレム術師みたいなもの?」

「ええと、まあ……そんなもの、かな、です」

 そうか。人工物に独自言語で命令するというとゴーレム術師もそうなのか。

「ゴーレム術師なら街にいます。よし、声をかけてこよう!」

 納得したなり、セシャはそのまま部屋から走って出て行ってしまった。

「あ、あの、そんな……」

「ああ、ごめん。セシャはすぐ行動する人だから」

 困ったなあというようにウェインは頭を掻いてみせる。

「い、いえ……悪いっていうんじゃなくて」

「まあ、おれはもう少し休むのがいいと思う。ここの親父は知ってるし、少しは置いてくれる」

 いや、でも、お金とか……と言いかけたとき、ウェインが軽く肩を叩いた。

「治癒魔法だって心の疲れは癒せないもんだ。今は休みな」






 数日たつと、体も動くようになった。魔法ってすごい。そんなことを言えば、セシャが頬を膨らませた。

「ウェインが調子に乗るからやめて」

「いいだろ、この街きっての治癒魔法屋だ」

「はいはい」

 ……この体はなんの仕事してたんだろうな。何かの魔法も使えたのかな。

 この世界では魔法でなんでもしてしまうようだ。例えば掃除、洗濯、料理。

 洗濯の魔法自体は簡単だが、布や服によって洗い方が違うので技が必要になる。

 家で洗う簡易魔法はほとんどの人が知っているが、洗濯屋になるには技術がいるということだ。

「ゴーレム術師なら魔法文書けるでしょ?」

「……いや、それがさっぱり忘れているようで」

「それは困ったな。身の回りの魔法はどうだ?」

「それも、よく……」

 自転車に乗れない以上に大変なことだな、これは。日常生活、全部できないようなもんじゃないか。

 ウェインが「んー」とつぶやいて、銅貨を一枚を取り出した。

「これ、ピカピカにできるか?」

「ピカピカ……ですか」

「ピカピカの銅貨をイメージする。そうなるように。で、魔力を叩き込む」

 銅貨の元の色を想像する。自分のなかに魔力があることを信じてみる。

 できると思えて、指で銅貨に触れた。触れたところが酸で磨いたように光る。

 考えてできたというより、体が覚えていた感覚だ。

「おお、できるじゃないか」

「コツを忘れてるだけみたいね」

 そんな、足はあるけど歩きかたを忘れてるみたいなこと……あるのか。

 だけど一度歩けるとわかれば、歩くのは難しくないのだろう。よかった。

「これなら、とりあえず生きていけそうだな」

「……そういえば、セシャさんはなんの魔法で仕事を?」

「私は一応、針の魔法が得意ね。みんなの晴れ着に刺繍したりしてるの」

「手でやるより楽なんですか?」

「手でやるの? どうして?」

 ああ、魔法でできるのにわざわざ手ではやらないか。魔法だとミシンより融通きくと思うし。

「……魔法、使えないって不便なんですね」

「そりゃそうだよ」

 それからセシャに連れられて下の酒場に行くことにした。

 働くということにあまり乗り気がしなかったが、何もしないわけにもいかない。

「というわけなので、すこし面倒みてくれません?」

「おまえ、オレのこと何でも屋だと思ってないか?」

「だいたい何でも屋でしょ?」

 というセシャとのやりとりのあと、親父さんがこっちを見る。

「まあ、仕方ないなあ……しかし、何があったんだか。いや、悪い。聞かないでおくぞ」

 それから酒場の親父さんは上の部屋を貸すことを約束してくれた。

「まあ、しばらくはのんびりやんな」






 それから五日。今日も朝早く起き、厨房に入ると木製の皿の山を渡される。

 きれいな皿をイメージして手で払うと汚れが落ちた。まるで手品だ。

 自分でも何をやっているのかよくわからないが、練習にはなりそう。

 毎日やってるうちに、この感覚が当たり前になればいいなあ。

「うん。まあまあだな。少なくとも真面目だ。……終わったら少し休んでいいぞ」

「はい」

 酒場で調理をすることはなく、仕入れたものを出すスタイルだ。

 ソーセージや塩漬け肉などが主か。たまに挽肉を焼いたハンバーグのような料理も出る。

 俺……カルムのやることは食器を拭いたりテーブルを拭いたり。床の掃除もできるようになった。

 オイルランプの芯切りは教えてもらったが火を消さないように落とすのが難しい。

 魔法も段取りや手先の器用さみたいなのが必要らしい。向き不向きがあるな、これ。

「……ちょっと街を歩いてみるか」

 掃除を終わらせて、外に出た。街は思ったより綺麗だった。これも魔法のおかげなのだろうか。

「どういう仕組みなんだろう……」

 そういや筋肉がどういう仕組みで動くか、骨がどういう仕組みで治るのか、よく知らないなあ。

 車や飛行機の仕組みとかは好きだったけど、知らない原理の世界というのは興味深い。

 きょろきょろとしていると、見知った姿があった。大きな籠に布の山を抱えている。

「セシャさん」

「ああ、カルムさん! 元気そうでよかった」

「ウェインさんは?」

「仕事中。私はちょうど終わって、そっち行こうと思ってたの」

 ウェインは治癒魔法屋として忙しいらしい。セシャは刺繍屋だと言っていた。

「すみません、なんとかやってます」

「私こそ、ごめんなさい。……だってあなた、助かったのに嬉しそうじゃなかったから」

「それは……」

「でも、そうよね。だったら、自分から死にやしないもの」

 セシャはうんとうなずいた。

「だけど、ええと……なんて言ったらいいかわからないけど、いいことがあるといいなって祈ってるから」

 彼女に言われると、きっとそれはいいことだという気がした。






 十日ほどすると、いろいろ魔法も使えるようになる。

 掃除洗濯、光をつけるのからいろいろと。ただ使いすぎるとすぐに疲れてしまう。

 魔法も体力を消耗するらしい。親父さんが気遣ってくれるのがありがたくも申し訳ない。

 夜になると酒屋も忙しくなる。とはいえ主に親父さんがだ。

 よいせと席に座ったおっさんが、弱った様子で親父さんに話しかけていた。

「やあ、最近、仕事が増えてね。セシャの言ってた人手はまだあるか?」

 人が集まる酒場の親父さんは情報屋としての面もある。

 親父さんの視線がこっちを向いた。それからまたおっさんに戻る。

「忙しいのか?」

「忙しいってほどでもないが、少し余裕が出たから人が欲しい」

「ふーん……カルム、やってみないか?」

 やっぱり俺のことか。

「俺、まだ魔法わかりませんよ?」

「そうか? 魔法文法も?」

「これ、どうだ? 読めるか」

 その場でサラサラと書かれて出された紙には魔法文字が並んでいた。意味がわかることに驚く。

 文字が何を指しているかがわかるのはこの体の知識だろう。それはいい。

 書いてある内容は……これ、なんか見覚えあるやつだな。

「ゴーレムの制御ですか? 歩かせて……歩かせるだけの。いや、こんなの、わかりませんよ」

 この言葉でゴーレムを起動して、歩かせて、この言葉で止める、みたいなやつだ。

 単語の意味がわかればなにをやりたいかはなんとなくつかめたけれど、わからないものはわからない。

「最初から書けるようになれとは言わんさ。読むのが嫌でないんなら見込みはある。やってみたいか?」

 正直、また同じような仕事をするのは気乗りがしなかった。

 けれども、ゴーレムがどんなものか、どう動くのかに興味もあった。

「……やります」






 それからまた十日。ゴーレム術師のところから帰ると、酒場にウェインがいた。

 たまにセシャが顔を出してくれたが、ウェインは久しぶりに会った。

「よう、カルム。ゴーレム術師のとこに行ってるんだってな。どうだ?」

「ああ……いろいろ教えてもらってる。ゴーレムは……面白いな」

「そうか! そりゃよかった」

 やっていることは前職と同じだった。命令を書いてゴーレムに入れて動きを確かめる。

 ゴーレムはただの土人形だが、命令を書いた羊皮紙を埋め込むとそのとおり動いてくれる。

 いろいろ書いて試しているうちに、魔法文の仕組みもわかってくる。面白い。

 自分の書いたものがそのままゴーレムの動きとして返ってきて、久しぶりに仕事が楽しいと思った。

 この世界でも俺は特別な才能はなかったけれど、少しは生きていける気がした。

「うんうん、落ち着いたら街の外にも遊びに行こうぜ」

 そうだ。街の外には行ったことがない。

 少しずつ日常生活の魔法が使えるようになって楽になった気がしたが、まだ街のなかだけのことだ。

 なにがあるんだろうとわくわくする気持ちがあることに気づき、ちょっと自分でも驚いた。

「それに、おまえもいい人見つかるかもしれないしな!」

「いい人ですかあ……」

 セシャの顔が浮かんだ。いや、少し優しくしてもらったくらいで、そんな。

 そういえば、セシャとウェインの関係ってなんだろう。……おまえ「も」か。

「ウェインさんのいい人って、セシャさんですか?」

「ん……」

 言いにくそうにしながら、ウェインは頭を掻いた。

「実はおまえを助けたあの日、ケンカ別れしたところだったんだ。頭に血がのぼってて」

「へえ」

「それが、まあ、いろいろあってというか、おまえのおかげでうやむやになって……」

 いや、ダメなやつだろ、それ。セシャの態度を見るに、ウェインのこと本当に嫌ってはいないだろうけど。

 だけど根に持ってるやつだと思うぞ。なんだか自分が昔振られたときのこと見ているようで心配になる。

「今からでも謝ったほうがいいと思うんですけど……」

「……だよなあ」






 ちょっといいなと思った人は、当然ながら相手がいた。心のどこかでわかってたことだけど。

 それから一ヵ月。二人は結婚し、酒場で宴会が開かれることになった。

 三次会になっても盛り上がる人々に、なんだかいたたまれなくて、ちょっと外に出る。

 酒場からだいぶ離れた橋まで来た時、ぼんやりと水面を覗き込む女がいた。なんか不穏だ。

「……おーい」

「なんですか」

 女は元気なく答えた。気迫のない不機嫌というか、そんな感じだ。

「あのさ、俺は今」

「はい?」

「好きな人の結婚式で、めちゃくちゃ傷心で、人目がなければ泣きたい気分なんだけど」

「ええと」

 女はぽかんとして、俺を見返したようだ。暗くて顔がよくわからない。まだ若いか。

「それは寝取られとかそういうあれですか……?」

「いや。ただ俺が勝手に好きになって、勝手につきあってて、勝手に振られただけ」

「はあ」

「なんで、ちょっと付き合ってくれません?」

「えええ! 振られたからって、手あたり次第ですか」

「違う違う、飲みませんかの意だよ。なんか食った気しなかったんで飲み直したい」

 最近は俺も簡単な魔法文を書くようになり、少し飲むお金を持てるくらいになっていた。

 ああいうのを試行錯誤して上手くいくよう直していくのは楽しいと思い出した。

 ただ、あの頃は死ぬほど忙しすぎて忘れていただけだ。

「お酌なんてできませんが」

「……となりで適当に飲んで食って適当に喋ってくれ」

「なんで私に構うんですか」

 不機嫌ではあるけれど、拒絶はしない。女はそんな微妙な距離感で聞いてくる。

「俺は、この世界に生まれ変わったんだ。と言ったら信じる?」

「え?」

 信じられないよな。俺も信じないもん。だけど、実際に俺はここにいて生きている。

「『むこうの世界』で死んで、まだ生きてなきゃならないのかって嫌になった。だけど一ヶ月もすれば、それもまあいいかって思えた」

「……振られたのに?」

「振られて泣きたいけど、明日の朝また起きて仕事行ってもいいやくらいには思ってるさ。嫌だけど」

 泣きたいけど、だからといって全部を放り出そうという気持ちにはならなかった。どこか心に余裕が残っている。

 今がつらいというのはともかく、世界はそれだけではないと素直に信じられた。

「ともかく、おいしいもの食べてから考えてみてもいいんじゃない?」

 こくんと女の喉が動いた。お腹が減っていては死んでも死にきれないだろう。

「気晴らしに、誰かに無理矢理おごりたい気分なんだよ」

「……行きます」

 向こうの露店に向かいながら少し笑う。たまにはやけくそも悪くないと思うようになった。

「まあ、あまり金はないんだけど」

「ないんじゃないですか」

 女の顔が松明に照らされる。涙に濡れた顔が、ぎこちなく笑ったようだった。

 その顔に、この世界に生まれ変わって、俺はもう少し生きていたいと思えてきた。

「ほら、そこのメリナ風ローストビーフなんてどう?」

「あそこ肉固いから、向こうにしません?」

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