終戦
父上の裏切りから始まった戦乱は父上の死亡と共に終わった。
既に敵国からは一度は占領していた領土の返還と賠償金の支払いが決まった。
ここまで多くの被害を出しながら、少しも得ることなく敗戦を迎えることに一度は敵国も難を示したらしいが、既に自国の被害も甚大。
逆侵攻されるような事態に避けての講和である。
「はぁー、終わった、かぁ」
何もかものすべてが終わった。
本国より届いたその報告を僕が聞く場所は龍骨山脈の砦の中だ。
「お疲れ様……色々と、大丈夫ですか?」
深々と息を吐きながら椅子の背もたれに体重を預ける僕に対してリノが心配そうに声をかけてくる。
「もういいよ……既にすべてを受け入れる覚悟が出来た」
父上は死に、ラステラ家の当主に相応しい戦果も得た。
このまま僕は暫定ではなくしっかりとしたラステラ家の当主となり、今回の戦での功績によって、父上の裏切りによる罪も完全に清算されただろう。
「なぁ、リノ」
そんな中で、僕はリノの方に視線を向けながら口を開く。
「何でしょう」
「これからもよろしくね」
「はい、もちろ」
「末永く」
「……ッ!?」
いつものように僕の言葉へと頷こうとしたリノは、続く形で告げられた僕の言葉にこれ以上ないほどの驚愕の表情を浮かべる。
「そ、それはつ、つ、つまり、私のこ!?」
「しーっ」
僕は確信めいたことを告げようとするリノの口を自分の人差し指で塞ぐ。
そして、ゆっくりと僕は彼女に向かって言葉を告げる。
「ごめんだけど、まだ僕はその先は言えないかな」
まだ、リノのことは完全に受け入れられていない。
「でもさ、僕たちは婚約者なんだ。これから二人で。僕と一緒に人生を歩いて行ってくれませんか?」
でも、彼女を生涯のパートナーとして向き合っていく覚悟はできた。
何があろうともリノだけは守るという覚悟も。
「……ッ、はい。喜んで」
どこまで行っても煮え切らない。
そんな僕の言葉に対しても、リノは満面の笑みで頷いてくれるのだった。
あとがき
これで本作は正式に完結となります。
ここまでご愛読いただきありがとうござました。
それと、この後にサポーター限定近況ノートの方にて本作を書く上で事前に作っていたプロットを掲載しようと思っています。
あくまでギフトを送っていただけた方限定での掲載とはなりますが、興味のある方は自分の方へとぜひ、ギフトを送って閲覧いただけると幸いです。
もらえたギフトの数によって運営さまから送られるトロフィーの獲得を自分は目指しておりますので、ぜひ……よろしくお願いします。
また、自分は他にも小説を連載しております、自分の小説を面白いと思っていただければその他の作品もご覧になっていただけると幸いです。
『悪役貴族は覇王たるか~悪役貴族に転生したので、傲慢かつ強欲に主人公の武も可愛いヒロインもすべてを手に入れようと思います~』
『https://kakuyomu.jp/works/16818023213143576237』
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『https://kakuyomu.jp/works/16818023212740381967』
また再び皆さんと出会える日があることを願っています。
それでは、また。
悪役貴族に転生した僕は追放されたいのに、ヤンデレ化した王女様が許してくれません! リヒト @ninnjyasuraimu
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