世の中とは儚きモノ

世の中とは儚きもので私はそれをよく感じる。

明るい未来に心を弾ませてもそれは簡単に私の下から遠ざかる。待ってと言っても待ってくれない。ただ悲しみだけが残り時間だけが過ぎる。

光ある中には必ず闇がある。

希望の中には絶望もある。

私はそれをいつも感じるのです。

私は生涯の中で希望を唯一持ったのは中学時代でした。

折馬中「おりば」に進学した私は今とは違い胸いっぱいに希望を膨らませていました。桜の花は太陽の光によって照らされ萍色の日差しが私を照らしなんだか祝福されているように感じました。

新たな出会い。

新たな校舎。

新たな環境。

確かに希望に満ちていたのです。

私は一時して友達ができました。

藁山 渚「わらやまなぎさ」と日倉 美聖「ひぐらみさと」。

彼女たちとの生活はとても楽しかったなぁ。

彼女たちとは小学校が別々で私は廣前小学校「ひろまえしょう」で彼女たちは咲乃坂小学校「さくのざかしょう」。小学校は違えどすぐに意気投合してどんなときも一緒でした。渚の家はお金持ちでよく美聖とお泊まりに行ってました。そこでは恋バナやまくら投げトランプ、メイクなどたくさんのことをしました。今思い出すだけでもあの頃は幸せでしたね。

しかしいいことばかりではありませんでした。

私が中学二年のとき同じクラスの佐竹 亜美 「さたけつぐみ」と少し口論をしました。亜美はこのクラスで言う女王的なポジで私は亜美の事があまり好きではありませんでした。人の事をすぐ馬鹿にするし、虐めるし、何より自分勝手で他人のことなんてまるで眼中にない。そんな女でした。

私は昔からイジメを悪だと思っておりどうしても見るに堪えないイジメを見たときは亜美の事を突き飛ばそうとまで思っていました。しかし亜美に当たれば必ず亜美が暴れて私が次の標的にされる。これは世界共通なのではないでしょうか。とにかくイジメを見てしまうと手が出そうだったのでイジメに関しては見ないことにしました。私は確かに攻撃的かもしれない。友達に相談したときも暴力はいけないと言われました。結局私はできるだけ亜美から離れることにしました。そうすることで何もストレスに感じることがなく友達と楽しい学校生活を送ることができる。しかしこの行動が亜美の反感を買ったのかもしれません。亜美はよくクラスの支持を集めるためにクラスメイトを監視して自分の事を嫌っている生徒は容赦なく潰していました。あるときは自殺にまで追い込んでいました。私もさすがに自殺の事を聞いたときは正義感より恐怖が勝りました。亜美の態度を伺いながら亜美と出来るだけ距離をとって生活をする。

その姿勢は亜美に見られある日の夕方に詰められました。亜美を怒らせないように言動に気をつけながら今までしてきた姿勢を説明した。

その時に言われたことは今でも忘れません。

「私から遠ざかるつもり?次はアンタよ。」恐怖は私の体を蝕みふと自殺した人の顔を思い出しました。

そういえば伝えていませんでしたね。「日倉 美聖」です。

私の友達は亜美によって殺されました。

私はあのとき美聖の遺体を見ました。顔は、、、あんまり言えないのですが手に何か握りしめてられていました。それは私たちがお泊り会をしたときに撮った写真でした。深い憎悪、憤り、殺意。

亜美にそのうち狙われることは承知していました。

なので私はあの日亜美に詰められたとき二人だけになるタイミングを狙っていました。亜美が後ろを向いたときポケットに忍ばせておいたナイフで頸動脈付近を切り裂く。これがセオリーでした。亜美をやったあとは自首しに行く予定でした。そして亜美が帰ろうとして後ろを向いたとき私は足音を立てずまるで暗殺者のように亜美の頸動脈を切り裂きました。亜美の血は宙を舞い床に飛び散りました。一瞬の出来事でした。気付いたら亜美は白目をむいて血を流しながら死んでいる。その時私は人を殺したことよりも美聖の無念を晴らしたことで胸がいっぱいになりました。興奮というか達成感。

私は高揚感に浸ったまま天を仰いでいると事態に気付いた教師に取り押さえられ警察に逮捕されました。もうひとりの友達、渚はと言うとあの事件以来自宅に引きこもるようになったそうです。渚の母親いわく「私は何故あのとき止めなかったの」とひたすら嘆いていたそうです。私は結局懲役15年となりストレスのせいか鏡を久しぶりに見た時は見知らぬ者が映っているように思えました。

希望を抱いたあの頃はとにかく人生が明るく毎日が輝きに満ちていました。しかしあの時から私は狂い始めたのかもしれない。15年後刑務所をでた私は久しぶりに渚と偶然出会いました。渚は私を見ると顔を背け明らかに避けていました。なので私は渚の耳元で言いました。

「もう安心していいよ。美聖はきっと喜んでいるはず。私は取り返しのつかないことをしたけど亜美のいない世の中をつくったんだよ。渚も納得してくれるでしょ。あれは間違っていなかったんだ。そうだ。そうなんだよ。」

渚は終始震えていた。ウサギのように。可愛くて仕方なかった。

私は渚に包丁を見せた。そして言いました。

「あなたはあの時私を止めたとしても私は絶対に亜美を殺していたから。もう背負わなくていいんだよ。わたしはこのことをあなたに伝えたかった。」

次の瞬間彼女は自分の腹部に包丁を突き刺した。

「あなたは何も悪くない何も悪くないの。だからだからもうあなたは自分の人生を歩んでもいいんだよ。」彼女はそう言って自分の身体を滅多刺しにした。

そして彼女は息絶えた。

わたしはどうすればよいのかわからなかった。私藁山渚は親友二人を亡くした。私は何か勘違いされていた。美聖を殺したのは私だ。私は美聖を、、。

そして私藁山渚は殺人の罪で捕まりました。

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