8年前に別れた元カノから来た年賀状に『旧姓に戻りました』と書かれていた。

春風秋雄

年賀状に書かれている苗字が変わっていた

また新しい年がやってきた。ひとりで過ごす正月は何度目だろう。両親が健在のときは、正月は故郷へ帰って過ごしていた。その両親もいなくなり、実家は廃家となっている。両親が健在のときは海外で暮らしている兄も正月には家族を連れて帰国していた。嫁いだ妹も正月三が日のどこかで旦那さんと子供を連れて年始の挨拶に来ていた。しかし、両親がいなくなってからは、兄妹とも会うことがほとんどなくなった。

録画していた紅白歌合戦を観るが、昔と様変わりしていてあまり観る気になれない。名前も知らない歌手ばかりで、聞いたこともない曲がほとんどだ。そんな中で、毎年出場する大御所の女性演歌歌手は2曲の大ヒット曲を毎年交互に歌っている。今年はこっちの曲の番だったかと思いながら聞いていると、名前も知らない歌手たちと違って、やはり聞きごたえはある。多くの視聴者は、この歌手のこの曲を聞かないと年を越せないと思っているのだろう。NHKもその意図で毎年この歌手を出演させている。本人はどう思っているのだろう。毎年新曲は出しているのに、何十年も前の曲を歌わされているというのは。俺は、それも良いと思う。どんなに時代が変わろうとも、自分の人生の中で大きなもの、大切な宝物は大事にすれば良い。それがあったからこそ、今の自分があるのだから。

さっき郵便受けからとってきた年賀状を見る。年賀状もすっかり少なくなった。最近の子は年賀状を出さないらしい。メールやSNSで済ましているということだ。古くからの知り合いからも、数年前から年賀状をやめたという人がちらほら出てきて、届いた年賀状は一昔前の半分の枚数もない。

一枚一枚めくっていくと、神崎美代子という名前に目が留まった。「あれ?」と思い、裏面を見る。干支が印刷された裏面には、定型文の新年の挨拶のあとに、手書きで『昨年、旧姓に戻りました』とある。去年までは高橋美代子で来ていた。よく見ると、住所も去年までの住所と異なり、実家の住所になっている。そうか、美代子は離婚したのか。俺はしばらくその年賀状を見つめていた。


俺の名前は狩野祐介。47歳のバツイチだ。妻とは8年間の別居の末、6年前に離婚した。子供はいなかった。もともと妻と別居したのは、俺が離婚を申し出たからだった。しかし妻は離婚に承諾しなかった。だから別居すれば妻が離婚に承諾してくれると思ったが、俺の考えは甘かった。妻は弁護士を雇い、毎月の生活費を婚姻費用として俺に払わせた。黙っていてもそれなりの生活費が入ってくるというのは妻にとっては快適だったのだろう。そして、俺が離婚したがっている真意を悟っていたようで、妻としての意地もあったのかもしれない。俺が離婚を決意したのは美代子という存在があったからだった。


美代子とは俺が30歳になる少し前に行きつけのバーで出会った。美代子は大学へ通いながらそこでアルバイトを始めたところだった。当時美代子はまだ20歳だった。俺はいつもカウンターに座っていたのだが、カウンター越しに少しずつ話すようになり、2か月もたつと他にお客がいないときは、俺に付きっ切りで話していた。俺はその頃、立ち上げた会社が忙しく、郊外の家に帰るのが億劫で、会社の近くにマンションを借りて、週に3日ほどはマンションに泊っていた。美代子が俺のマンションに泊るようになるまで、3ヵ月もかからなかった。

美代子は、将来は薬剤師になるのが目標で薬学部に通っていた。美代子が入学した年から、学校教育法が改正され薬学教育は6年制となった。裕福でもない親に6年間仕送りをさせるわけにはいかないと、学費だけは出してもらって、生活費はアルバイトでまかなうようにしているということだった。

最初の1年くらいは、美代子が俺のマンションに泊るのは、週に1回程度だった。俺としては単なる浮気で、妻以外の若い娘とたまに遊んでいるといったつもりでいた。ところが2年近く経つとお互い情が湧いてきて、それがそのうち愛情に変って来た。ただ美代子はまだ学生なので先のことは二人とも考えないようにしていた。

美代子が5年生になった時に状況が大きく変わった。美代子のお父さんが病で倒れた。会社は休業せざるを得ず、傷病手当で生活は何とかなっているが、賞与はないため学費を送金出来ないという事態に陥ってしまった。5年生になってからは勉学に専念しなければ単位も危ういため、これ以上はアルバイトを増やすわけにはいかない。俺は美代子の学費を援助することにした。そして、今住んでいるアパートを引き払って俺のマンションに移ってくることを提案した。俺はその時点で妻に離婚を申し出たというわけだ。


美代子との同棲生活は楽しかった。アルバイトも辞めさせ、勉強に専念させるようにした。食事はほとんどデリバリーか外食をしていたが、時々料理を作ってくれた。決して上手ではなかったが、嬉しかった。仕事の付き合いで帰りが遅い日が続いたり、たわいのないことで喧嘩をすると、俺に嫌がらせのいたずらを仕掛けてくることがあった。朝起きて出勤しようとすると、靴の裏にチューイングガムがくっついていることもあった。ひどいときは、シャワーを浴びて髪を洗うと俺専用のシャンプーに醤油が入れてあったことがあった。泡立つシャンプーが醤油臭いので問い詰めると、平気な顔で白状した。その場はさんざん怒ったが、心の中では、そんないたずらをする美代子が可愛いと思っていた。

美代子が大学を卒業して、国家試験に受かり、薬剤師として働き出すと、俺は真剣に結婚を意識し出した。妻に離婚を再三迫るが、首を縦に振らない。時間だけがダラダラと過ぎて行った。

美代子と同棲して5年が過ぎた頃に、突然美代子が言った。

「ねえ、奥さんは別れてくれないのでしょ?私たち、もう別れようか」

「何を言い出すんだ。ちゃんと離婚するから待っていてくれよ」

「でももう5年もなるのに奥さんは離婚しないと言い張っているんだよね?」

「そうだけど・・・」

「お母さんがね、お父さんの調子が良くないので、地元に帰って結婚しないかと言ってきたの」

「地元にそんな相手がいたのか?」

「そうじゃない。お見合いみたいな話が来ているんだって。私は一人っ子だし、老後の面倒をみてとは言わないけど、近くにいてほしいと言っている。それに孫の顔を見たいしって」

美代子も28歳になった。確かに親としてはもう結婚してほしいと願っているだろう。子供を作るにもそれほど悠長なことは言っておれない年齢だ。かといって、離婚していない俺の状況では子供をつくるわけにもいかない。

「事情はわかったから、もう少し待ってくれ」

「うちの親は30歳までには結婚しろってうるさいの」

30歳まで2年もないではないか。俺は焦ってきた。


妻のいる家に何度も足を運び離婚の交渉をするも、妻は頑として受け付けない。離婚条件も破格の条件を提示してみた。それでも「うん」とは言わなかった。時間だけがどんどん過ぎていき、このままでは美代子は他の男と結婚してしまうと思うと、俺は仕事が手につかなくなってきた。

そんな時、美代子が連休を利用して実家へ帰った。俺と同棲してからは、年末年始以外で実家へ帰ることはなかったので、俺は嫌な予感がして心配でしょうがなかった。実家に帰ってしばらくしてから、美代子が改まって俺に言ってきた。

「私、実家に帰ることにした。両親が向こうで雇ってくれる薬局も見つけてくれた」

とうとうその時が来たかと思ったが、俺には引き止める材料が何もなかった。

実家に帰った美代子からは連絡は途絶えがちになった。そして、半年くらいした頃、「結婚することになった」と告げられた。それから1年もしないうちに美代子から「結婚しました」と葉書が送られてきた。美代子が30歳になる年だった。

俺は毎晩、今頃美代子は俺の知らない男と寝ているのかと思うと、嫉妬で身を引き裂かれる思いで、ろくに眠ることができなかった。

美代子が結婚して1年くらいした頃、妻から離婚すると連絡がきた。おそらく新しい相手でも出来たのだろう。俺は「遅いよ!」と怒鳴りたくなった。


美代子は年賀状だけは毎年律儀に送って来た。俺に気を使ってなのか、家族写真などは入れていない。新年の挨拶が印刷された、そっけないものだった。ただ単に、元気でいると俺に知らせたかったのかもしれない。

俺は、旧姓に戻ったという、今年の年賀状を見ながら何日も自問自答してみた。

俺は今でも美代子を愛しているのだろうか?答えはYESだ。離婚してから、何人かの女性と関係をもった。しかし、美代子と暮らしていたときほどの幸福感は得られなかった。中には結婚を迫ってくる女性もいた。しかし、俺は「結婚はこりごりだ」と言って跳ねのけた。実際は、どうしてもその女性を美代子と比べてしまい、結婚する気になれなかっただけだ。

俺は今でも美代子とやり直したいと思っているのだろうか?あの時のままの美代子であればやり直したいと思う。いまからでもすぐに会いに行きたいと思うだろう。しかし、美代子がここを去ってから8年近く経っている。どう変わっているかわからない。それに年賀状には書かれていないが、6年の結婚生活で子供も出来ている可能性も高い。知らない男の子供を俺が受け入れられるかどうか、まったく想像がつかない。子供を見た瞬間に嫉妬にかられるかもしれない。

そんなことを考えながら、1ヵ月ほど経った。

いずれにしても美代子とのことにけりをつけなければ、俺は前に進めないような気がした。しかし、連絡して面と向かって会う勇気がなかった。俺は、とりあえず遠くからでも美代子の姿を見て、自分の気持ちを確かめてみようと思った。


美代子の実家は長野県の松本市にある。車だと3時間程度かかる。電車で行こうかとも思ったが、車の方が現地へ行ってから行動しやすいと思ったので車で行くことにした。家に訪ねていくには休みの日の方が良いが、遠くから姿を見るだけなら働いているところを遠くで見るか、勤務が終わって帰宅するところを見た方が確実だ。俺は仕事が立て込んでいない平日に松本へ行くことにした。


美代子が働いている薬局は内科クリニックの隣にある調剤薬局だと聞いていた。そのクリニックの名前を聞いていたので、インターネットで調べると、その周りには調剤薬局は1件しかなかった。幸いなことに道路を挟んだその向かいにコインパーキングもあるようだ。ナビにコインパーキングの所在地をセットして走り出した。走りながら、もし会えたらどうしようかとか、色々考えていたら3時間はあっという間だった。現地について、コインパーキングに駐車したあと、それほど広くない道路を渡って、薬局の前を歩いてみた。中の様子を伺うが、良く見えない。看板を見ると、平日は夕方5時30分までの営業のようだ。時計を見ると4時を少し回ったところだった。仕方ないので、俺は車の中で5時半まで待つことにした。

5時半になり、店じまいをする気配があった。しばらくすると、スタッフが次々と店から出てくる。その中の一人の女性が道路を渡ってこちらへやって来た。美代子だ。美代子は真っ直ぐ俺の車まで近寄り、助手席を開けて座った。

「祐ちゃん、久しぶり」

「俺だとよくわかったな」

「こんなところに品川ナンバーの車が何時間もいるわけないもの。それにさっき、薬局の前を通ったでしょ?」

「見てたの?」

「あれ?ひょっとしたらって思った。それで外を見たら品川ナンバーが止まっているし」

「美代子は変わってないね」

「何言っているのよ。もう37歳よ。おばさんになったでしょ?」

「とても37歳には見えないよ。今も綺麗だよ」

実際、美代子は変わらず綺麗だった。年を重ねた分だけ、大人の女性といった美しさが増していた。会うまではあれこれ考えていたが、会ってしまうと、今も美代子が好きだし、よりを戻したいという気持ちが湧いてきた。

「とりあえず、どこか行こうか。少し走ったところにファミレスがあるから、そこへ行こう」

俺は促されるまま駐車料金を精算して車を発進させた。俺が駐車料金を精算している間に、美代子はどこかに電話していた。おそらく家に電話していたのだろう。


「離婚したんだね」

ファミレスで俺はいきなり切り出した。

「最初から長く続かない気がしていたけど、やっぱり駄目だったね」

「変な男だったの?」

「そうじゃないよ。とても良い人だったよ」

その言葉に、俺は少し嫉妬した。

「じゃあ、どうして離婚したの?」

美代子は一瞬黙り込んだ。そしてコーヒーカップに口をつけてから俺に聞いた。

「それより、祐ちゃんは奥さんとはどうなったの?」

「離婚したよ。美代子が結婚した翌年だった」

「そうなんだ」

美代子は驚いた顔をした。

しばらく二人は黙ってコーヒーを飲んでいた。

すると突然美代子が昔の笑顔になって言った。

「ねえ祐ちゃん、ドライブしよう」

「ドライブ?」

「そう。行こう!」

美代子はそう言って荷物を持って立ちあがった。

車を走らせ、美代子の指示通り、右に曲がり、左に曲がりとしていると、たどり着いたのはラブホテルだった。美代子はそこに入ろうと言った。


8年間の時間を埋めるように、二人は抱き合った。落ち着いたところで、美代子が聞いた。

「ところで、祐ちゃんは、今日はどうしてきたの?」

「いまさら?」

「ごめん、聞いていなかったから」

「自分でもよくわからないけど、離婚したと知って会いたくなった」

「それは、私とよりを戻したいということ?」

「会うまでは自分でもどうしたいのかわからなかったけど、会ってみて、今は美代子がよければもう一度やり直したいと思っている」

「私、子供がいるの。今年6歳になる娘」

やっぱり子供がいたのか。俺は思わず黙り込んでしまった

「私があと1年か2年、待っていれば良かったのかなぁ」

「俺も妻がもう少し早く離婚に応じてくれていたらと、何度も思ったよ。でも、ひょっとしたら妻は、俺が美代子と別れたのを知って離婚に応じたのかもしれない。ずっと離婚に応じなかったのは美代子への対抗心だったのではないかと、今は思っている」

「じゃあ、私がもう少し待っていても離婚はしなかったってこと?」

「そう思わないと辛すぎるよ」

「そうだね」

「美代子は、どうして離婚したの?」

「結婚したあと、私思ったの。やっぱり祐ちゃんが好きだって。私が結婚すべき人はこの人じゃなかったって。でも親の手前、一応結婚生活は続けなければいけないし、親に孫を抱かせてあげなければいけない。祐ちゃん以外の男に抱かれるのは本当に嫌だった。でも子供を作って、親に孫の顔を見せてあげなければと思って、本当にそれだけのために我慢した。やっと子供が出来て、これで親への恩返しは出来たと思ったの。それから旦那がどんなに求めてきても拒んだ。そのことで、何度も言い合いになった。私は外で女をつくればいいって言ったの。そしたらものすごく怒った。殴られるんじゃないかと思った。それから娘を連れて実家に帰ったの。でも、しばらくして旦那が迎えに来て、両親も帰りなさいと言うし、仕方なく帰って。そんなことを何回も繰り返していたの。私は娘さえいれば、結婚生活なんかどうでも良かった。幸い私の仕事はそれなりに収入があるし、充分一人で養っていける。それで旦那に離婚しようって言ったの。でも旦那は全然離婚に応じてくれなかった。祐ちゃんがなかなか離婚しないのを、どうして?って、ずっと思っていたけど、いざ自分がそういう立場になって、離婚って大変なんだ、簡単には出来ないんだって思った。でもうちの旦那は4年で何とか諦めてくれたけど」

俺は、美代子の話を聞いていて居た堪れなくなってきた。

「こんな私だけど、もう一度やり直してくれる?」

「うん、もう一度やり直そう」

「祐ちゃんの子じゃない、他の男の子供がいるけどいい?」

「まだ会っていないから、何とも言えないけど、多分大丈夫」

「じゃあ、今から娘に会いに来る?」

「今から?実家だよね?ご両親もいるのでしょ?」

「両親のことは大丈夫。祐ちゃんが学費を出してくれたことも、どうして私が離婚したかも、全部話しているから」


俺は運転しながら緊張していた。ただでさえ、ご両親に会うのは緊張するのに、娘さんに会うのは怖い気がした。初めて会う女性が子連れだったというのとはわけが違う。惚れて惚れぬいた女性が、その後他の男性の子供を産んだという事実を突きつけられるということだ。実際にその娘さんと会って、どういう感情が生まれるのか、自分でも想像がつかなかった。それに、娘さんの方が俺を受け入れてくれるかどうかもわからない。

美代子の実家に着き、俺が駐車場に車をバックで入れている間に美代子は玄関を開けて娘さんを呼んでいる。

「千佳!おいで!白い自動車に乗った王子様を連れてきたよ!」

白い自動車に乗った王子様?何だ、それ?

俺が玄関へ行くと、奥から女の子が走って来た。とても可愛らしい子だ。そして、その顔は美代子にそっくりだった。俺はひと目でその子が愛おしくなってしまった。父親が誰かなんてどうでもいい。紛れもなく、この子は美代子の子供だ。

「白い自動車に乗った王子様、いらっしゃい!」

「白い自動車に乗った王子様って、何?」

俺が美代子に尋ねると、千佳ちゃんという娘さんが代わりに答えた。

「ママがね、言ったの。千佳にはパパがいなくなったけど、いつか白馬に乗った王子様が千佳のパパになるためにやってくるからって。でも、馬は道路走れないよって言ったら、現代の王子様は白馬の代わりに白い自動車に乗ってくるからって」

美代子は俺が白色の車しか乗らないことを知っている。すると、パパになるためにやってくる王子様とは、俺のことを言っていたのか?最初から俺がこうやって来ることを信じていたのか。

「おじさんが、千佳のパパになってくれる人?」

俺はしゃがんで、千佳ちゃんに目線を合わせて迷わず応えた。

「そうだよ。千佳ちゃんの新しいパパになるために来たんだよ。よろしくね」

千佳ちゃんという女の子は、目を輝かせて、大きく頷いた。


俺にとって美代子という存在は、大御所女性演歌歌手の大ヒット曲と同じだったのかもしれない。どんなに時が過ぎようとも、どんなに時代が変わろうとも、決して消し去ることのできない、大切にせざるを得なかった存在だった。そして、その存在を大切にしてきたからこそ、今の幸せがある。

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