第201話 ナレ死
「身体に悪そうな食べ物ってなんでこんな美味しいんだろうな」
「身体に悪いからだろ」
「なるほど」
「それで納得するのかよ」
どうも。
先日スーパーウェルター級の世界タイトルマッチを3RKOで終わらせ、無事4階級制覇を達成した皇拳聖です。
第1Rと第2Rでボディでダウンを一回ずつ奪って、第3Rでボディを庇ったエドワード選手の側頭部を右フックで捉えて失神KO。
自分でも惚れ惚れするぐらい教科書通りのボクシングが出来て大満足である。どうやら俺の頭がお花畑になってるから、怪しいとか言ってた奴らも居るらしいが、この俺が彼女が出来て弱くなる訳がない。
むしろパワーアップしたぐらいだ。
そして試合から三日後。
とある二郎系ラーメン店で龍騎とご飯を食べに来ていた。
「で、姉貴とはどうなんだ?」
「どうって…」
どうもこうも。
公衆の面前で告白して、ネットのおもちゃにされてからも何回かデートはした。
やれ、若手の世界チャンプが大胆な公開告白だの、リングでの太々しい態度とは裏腹に、ガチガチに緊張してて草だの。
不思議と悪い風には書かれてなかったし、テレビでの報道も祝福ムードって感じで、そこまで悪影響はなかったけども。
少し興味本位で覗いた掲示板では、それはもうおもちゃよ。普段アンチやら、ネットの意見を気にしない俺でも、今回はちょっと心にくるというか、恥ずかしい思いをした。
まあ、俺がおちょくられてるだけなら良いけどさ。これで美咲さんの方にも影響があったら、世界チャンピオンのパンチが火を吹くけど。
「スーパーウェルター級に上がって、減量は少しは楽になったけど、それでも減量中はピリピリしてるからな。なるべく会わないようにしてたから、特に進展という進展はないな」
「その身長で大体70kg以下に抑えて、筋肉も付けるって苦行だよなぁ。身長は俺の方が低いのに、体重は俺の方が重いぞ。昨日計ったら79kgあった」
「試合終わりだし、今の俺もそれぐらいあるぞ」
減量はなぁ。ボクシングをやってる以上、切っても切れない縁だし、仕方ない。この悩みはヘビー級に上がるまで続くだろう。
「すぐにミドル級に上げるのか?」
「対戦相手が見つかりそうなら、スーパーウェルター級でもう一戦やる予定だったんだけどな。交渉が難航しそうだから、ミドル級に上げる事にした」
なんか対戦相手がファイトマネーをやたらと釣り上げてくるから。面倒だし、さっさとミドル級に行く事にした。
「日本人ならここら辺が限界だよなぁ」
「昔はミドル級や、スーパーミドル級でも強い人はいたらしいけどね」
オリンピックで金メダル獲った人とか。でも、日本人は身体特徴的に、ここら辺が限界だって言われてる。ここまで快進撃を見せてる俺でも重量級では厳しいだろうって見方が一般的だからね。
「まっ、見とけよ。俺は日本人初のヘビー級世界チャンピオン、9階級制覇っていう前人未到の快挙をやってみせるから。勿論無敗で」
「相変わらずボクシングに関してはすげぇ自信だな。恋愛は奥手のくせによ」
「うるせぇ」
やいやい言いながら大将にご馳走様を言って店を出た。
皇拳聖、まもなく20歳。
未だ童貞である。
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タイトルは『冒険者ギルドを作りました』です。
歩く災害と呼ばれた男 Jaja @JASMINE4
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