本作を誰かにつよく薦めるとして、その候補となりそうな層をわたしなりに考えてみました。暫定的な結論として、
・ガルシア・マルケスの『百年の孤独』が好きなひと
・女性同士の恋愛(ユリ)が好きなひと
が思い浮かびました。しかるに本命は、
・秩序や道徳や倫理よりも、無秩序や渾沌(カオス)や人間の業に惹かれるひと
というものになりました。
標題のひとこと紹介は、(わたしの記憶が正しければ)マルケス(1928-2014)の同作などの作風を表現する「魔術的リアリズム」によります。わたしは同作を読んだことがあるのですが、魔術的リアリズムの何たるかを理解している、とは口が裂けても言えません。そうなのですが、本作を読みながら、魔術的リアリズムとはこういうものを指して言うのだろうと思いました。
なお、「秩序」は「宇宙」(コスモス)の類義語と心得ますが、本作は(小さな)宇宙、(ミクロ)コスモスのようだと思ったことを付言いたします。