異世界救ってる暇があったら、勉強しなさい。
兎道電楽
第1話 異世界への門
ある日、眠りについた直後、目の前に門が見えたんだ。
俺は本能的に理解した。
それは異世界へと通じる門。
門をくぐれば、こことは違う別の世界に旅立てる。
きっとそこには冒険が待っている。
希望を胸に、夢の中で俺は門へと歩き出した。
だが、門の前まで来て足が止まった。
ふと母さんと父さんの顔が脳裏をよぎったからだ。
さらには親友の竹林や、密かに思いを寄せている綾ちゃんの顔。
そうか。
異世界に行くってことは、それらを失う可能性があるってことなのか。
怖くなった俺は、一歩後ずさった。
すると目が覚めてしまった。
一瞬にして門は消え去り、見慣れたいつもの天井が瞳に映る。
もう朝か…。
学校…嫌だな。
「はぁ…。」
自然とため息が出る。
やっぱ勇気を出して行けば良かったかも。
「研ちゃん、いつまで寝てるの?早く顔洗ってご飯食べに来なさい!」
「………。はぁ…。」
「研ちゃん!朝起きれないなら、もう夜中のゲームは無しにするわよ!?」
「わぁーった!わぁーったから!!」
やっぱ行くべきだったな。
くそぉ…。
異世界救ってる暇があったら、勉強しなさい。 兎道電楽 @ybpt83
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