第十羽「フルータの事情」
リンゴを食べ終えた後、私はフルータさんに話しかけた。出発の準備を整えているフェリテには聞こえないよう声をひそめて。
「あの、最後に教えてもらいたいことが」
「なんだい?」
「ハルピュイア
本来ならいつ鈴を鳴らされてもおかしくない
「……本当は、はじめっからあんたを傷つけるつもりはなかったんだ」
フルータさんは少し大きな声で言った。まるでフェリテにも聞かせるように。
「あたしが管理している果樹園をね、ハルピュイアに
「やっぱり……」
「あんたの表情を見て、この子は
許せなくて当然だ。大事に育てているものを荒らされたら誰だって
「でもあたしは間違ってたよ。憎むべきは直接荒らしたハルピュイアどもだ」
フルータさんは私の
「さぞかし痛かったろう。本当にすまなかったね、ロンディ」
「良いんです。むしろお礼を言わせてください」
「えっ?」
彼女はもちろん、フェリテもおどろいている。
「フルータさんがハルピュイアを憎むのは当然のこと。それなのにこんなに親切にしていただきました。本当にありがとうございます」
「ロンディ、きみ優しすぎるよ」
「あたしもフェリテに同意するね」
二人の意見がそろったことに私は少しだけうれしくなる。
最初は対立していたのに仲良くなったってことだから。
妖精と空へ飛び立つハルピュイア チェンカ☆1159 @chenka1159
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