俺は走っていた

 行く当ても分からないのに


 冬の空はあっという間に夜空になり

 街灯が辺りを照らし始めていた、

 ゆっくりと振っていた雪は

 次第に強さを増していた


 俺が公園に着くと

 ベンチに座り何処かを見ている井上の姿が


 俺は井上の目の前に立ち

「あの日、井上は死のうとしてたのか」

 っと率直に聞いた


 どうしてっと優しく言う井上に

 俺は槙原さんから聞いた話しを井上に教え

 自分もそうしていたかも知れないと

 自分の考えを井上に教えた


「・・・・・」無言になった井上は

 小さな声で言った

「あの日、

 なんで北神君はあの場所に来たの?」

 それは決まってる

「なんで私を助けたの?」

 放って置ける訳ない

「なんで私は北神君に

 出会ってしまったんだろ」


 俺は井上に言った

「死のうなんて考えんな!!!!」


 大声でそう言ったので

 井上は凄く驚いた様子だった、

 雪は益々強まり 冬の冷たい空気が

 俺達2人の身体を冷やし体力を削っていく


 俺はもう一度言った

 死のうなんて考えんなと

「・・・・・どうして・・・

 どうして北神君がそんな事を・・・」

「俺も自殺しようと

 屋上から飛び降りようとした時があった、

 だけど俺は救われた、人間の優しさに!!

 だから今度は俺が救いたい

 井上を!!」


 井上は涙を浮かべ俺の顔を見ていた

 大好きだった前の男に裏切られた

 井上の心は

 グチャグチャになっていたのだろう、

 俺は井上を抱きしめ

 ツライ時は誰かと分け合えば良い

 それでツラサを分散させろ!!っと言った


 暗い夜の公園で

 街灯だけが俺と井上を照らしていた


 井上は泣きながら言った

「助けてくれてありがとう」

 そう何度も

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Uの雪 二部 深々ロア @noosvgkoej

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