レベル100のマシュマロと、マシュマロ好きの富豪と、マシュマロを売るお店

仲仁へび(旧:離久)

第1話



 そのマシュマロはとてもすごい。


 マシュマロの中のマシュマロである。


 マシュマロの中のマシュマロであるそのマシュマロは、来る日も来る日もマシュマロレベルを上げるために、鍛錬した。


 より甘く、よりおいしく、より親しみのある形になるために頑張った。


 そうして毎日訓練を積んだマシュマロはレベル100に到達。


 伝説のマシュマロとなった。


 マシュマロは喜んだ。


 物凄く喜んだ。


 それはそれはとても喜んだ。


 レベル100のマシュマロは、他にはいない。


 全マシュマロ未踏の領域に到達した。


 それにできる事がかなり増えた。


 食べられても食べられても、無限に増殖する不死鳥のマシュマロと化した、レベル100マシュマロは、三日三晩喜びまくった。


 しかし、マシュマロを売っているお菓子屋は困った。


 なぜなら、とてもマシュマロ好きの富豪が今まで、大量に買ってくれたのに。


 一粒のマシュマロだけで満足してしまうからだ。


 レベル100のマシュマロはその事に気が付き反省。


 強くなる事は、豊かになる事は、必ずしも幸せを呼ぶものではないと気が付いた。


 その後、マシュマロは水をかぶって精神修行、自らのレベルを落とす秘儀を発動して、蘇る事がなくなった。


 そのため、マシュマロ好きの富豪は、最後の一口を味わった後、今までのようにマシュマロを販売しているお菓子屋からマシュマロを買う事になったのだった。


 食べられたマシュマロは、自分のマシュマロ生の未熟さと、人に何度も味わってもらえた幸せをかみしめながら天へとたびだった。


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