可南子yeah!(コウモリが飛んでゆく)

へい!

第1話

 可南子yeah(コウモリが飛んでゆく)

            


暗雲垂れ込める

あんたたちは資本主義だ

格差を拡大してやんぜ!

Yeah

コウモリが飛んでゆく


へい!

貧しい子供が

お菓子を食えない?

へい!

金持ちの子供が

中トロ食ってる?


なに文句言うとる

あんたたちは資本主義やないか 資本主義やないか

資本主義やないかーーーーー!!

コウモリが飛んでゆく


Yeah じゃあ社会主義がよいかといえば

んなこたぁない

社会主義は

統制が厳しすぎて 楽しくない


だから

キャンセルカルチャーが生まれた

資本主義は格差を拡大するからキャンセル

社会主義は楽しくないからキャンセル


キャンセルキャンセルキャンセルキャンセルキャンセル


結果どうなった?

へい!

資本主義は競争が激しいから

商品のサービスが良くなる場合がある

社会主義は格差を是正するから

貧しい子供がお菓子を食べられる場合がある

それもすべてキャンセルキャンセルキャンセルキャンセルキャンセル

コウモリが飛んでゆく


だから

あんたたちは明日を描く

希望のペンで

夢の紙に

へい!

コウモリが飛んでゆく

コウモリが飛んでゆく




 

 唐突だが、パワハラ上司とシュガー社員、どちらも嫌いだ、あんたは。年齢的なものかな。上もたくさんいるし、下もたくさんいる。オッサンだ。

 みんなはオモロイオモロイと言うが、さっぱり笑えない。

 ある日、やせのパワハラが怒鳴る。

「週休7日にすっぞ!」(SEVENDAYS WEEKENDてバンドあるが)

 いわく励ましやて。深く傷ついたのに。

 ある日、でぶシュガー、つまりあんたですけど、

「週に8日○○ちゃんを愛してる」とか、ぬかす。

 ビートルズっぽい(Eight days a weekて曲ある)が、ほぼストーカー。コワイ。

 美しい曲にせよ、ストーカー規制法がある。ジョン・レノンは横山やすしだ(??)

 仕事できるが性格破綻よ。ゴッホみたいなストーキングもしたことある。


 うー。ジョン・レノンってキャラクターは、AIではまず独創的すぎて作れない。AIか……。

 最近、あんたは疲れてる。

 人手不足を解消するためのAIは、むしろさらなる人手不足を誘発する。怠け者が増えるからだ。AIが様々な仕事してくれる時代、勤労意欲は確実に低下してくだろう。

 対策としては、デジタル分野におけるNFTの概念をアナログ世界にも取り入れること。

 自分が代替不可能な人材だと自覚すれば、ヤル気が出てくるかもわからん。

 人手不足ほんときついです。睡眠不足でおかしなこと考えてます。何なんだ。インターネットで検索してみる。


 NFT(非代替性トークン)とは、ビットコインやドル紙幣のように全く同じ価値を持つ "代替可能 "な資産ではなく、それぞれが固有のものである特殊なトークンのことを指します。NFTは1つ1つが固有のものであるため、美術品や録音物、仮想現実の不動産やペットなどのデジタル資産の所有権を認証するために使用できます。

(Coinbaseのサイトより)


 うー。よくわかんない。知見不足。もともと著作権法違反の可能性が高いAI生成作品の著作権をNFTによって強化するってことかしら。よくわかんねえや。「新しいアートのかたち」「夢と金」といった本を買った。NFTについて書かれてある。


 うー。わかんない。頭が回転しない。睡眠障害だ。でも、「夢と金」に書かれてあった、キングコング西野のたとえ話はオモロイ。思想はあんたと違うね。真逆とも言える。でも、お互いオモロイ。ライバルだ。ストーカーかよ。「新しいアートのかたち」はすこし難しい。すこしずつ読む。まず、睡眠不足をだね、解消しないと。人手不足きつい。

 あ。睡眠不足といえば、ウクライナ情勢の影響もある。気になって気になって結局、不眠症になる。

 ゼレンスキー大統領の誤算とは!??

 やはり西側は魅力的だ。ロシアは暗く、西側は明るい。ハッピーだ!

 ま、ロシアの文豪ドストエフスキーは暗いのが魅力的だがネ。文学的価値が高い。

 ゼレンスキー大統領はエンターテイメント的な価値観を選択したのかも。ま、それはそうと。

 でも、ゼレンスキー大統領は勘違いしてた。プーチン大統領はゴリラーマンだ。

 ゼレンスキー大統領は、NATOに加盟しても大丈夫と勝手に判断。プーチン大統領を腐っても人間だと信じ切っていた。それが間違い。

 プーチン大統領が仮に聡明なら「ま、いいんじゃね?」とかなるわ。

 でも、「この野郎!裏切ったな!」となった。プーチン大統領ゴリラーマンだから。

 ひょっとして、ゼレンスキー大統領もゴリラーマンなのか。失策の結果、ウクライナの子供が2万人誘拐とか笑えん。

 でも、あんたら日本人はもっとゴリラーマン。

 アメリカに情報操作されて「ウクライナ支持の総理、すてき!」なんて正義に酔いしれてるが、総理の在籍しとる政党はかつてアメリカのイラク侵略(解放?)でアメリカ支持したんだぜ?

 総理、完全にゴリラーマンやん。ま、親分(バイデン大統領)がゴリラーマンだから当たり前ですけど。

 では、あんたは。あんたはどうなの。

 子供を2万人救えないあんたもまたゴリラーマンかも。チカラがまるでねえ。部屋でがたがた震えてる。完全にゴリラーマン。日本はアメリカの犬だと批判したって、あんたもまたロシアの猫だ。

 プーチン大統領をゼレンスキー大統領をバイデン大統領を小統領って言いたくもなる。総理を草履と言いたくなる。ネットでわめいて、発散したくなる。

 でも、韓国人は天皇を日王と表記して蔑視してる。皇帝の下に国王がある。無論、小中華思想。情けない。真似したくねえ。

 あんたもゴリラーマンかも。けど。ゴリラーマンにもプライドあんねや。

 ウクライナの子供を笑かしたいな。どうすれば。勉強する。

 さっぱりわからん。知識不足。勉強する。

 画家のバンクシーはいろいろ知ってる。ストリートアートで、ウクライナの子供を笑かしてる。爆撃でやられた廃墟。バンクシーは、その壁に、デカい大人の柔道家を小さい子供が投げ飛ばす絵を描きました。プーチン大統領、柔道やってましたからねー。ウクライナの子供がプーチン大統領を投げ飛ばすイメージなんでしょう。

 メチャクサ笑える。元気出る。あんたもがんばる。ウホ。ウクライナの少女に「ロシア人殺す!」とか叫びさせたくない。ま、これもフェイク・ニュースかしら。プーチン大統領が国民を扇動するために。

 でも、あんたが少女を笑わせたいのはフェイクと違うよ。ウホウホ。


 ウぁホぅ!!!!

 いろいろ考えると、あんたはストレスが凄くて(考え過ぎだネ)、気晴らしに喫茶店に行った。古い店。風が吹いたら傾きそうな店。老人ホームみたいだ。婆様爺様ばかり。

 なぜ、若いあんたが行く。会社が近いからだ。立地だよ。マーケティングの基本よ。

 ま、それはともかく、杖をついたヨボヨボのお種婆様が、弱い声で、今から車検行くと言ってる。

「乗れたら乗って帰るぞぃ」

 その瞬間、店内大爆笑。店の常連である爺様婆様、腹を抱えて大笑い。

「ひーひーひー」

「ウケるのぅ!」

「そんなヨボヨボで乗れるわけねえじゃろ!」


 お種婆様、大激怒。

「やかましいぞぃ、おまんら! 乗れるわぃ! お種なめんな!」

 さっきと違って、でかい声だ。腹の底から出てる。

 つまり、お種婆様、身体的に運転できないという意味で言ったのではなく、代車が手配できたらという意味で言ったのだった。

 お種婆様はもともと足が弱く、前の車検のときも杖ついてたが、その時の方が、今よりもうすこし足が良かったように記憶する。今はもうフラフラで運転したら実に危険だ。行きはギリギリがんばって行けたが、帰りはプロの判断で止められるかも。


 ちらと、ママの様子を見る。忙しそうにランチを作ってた。たぶん、こんなこと思ってんじゃないかな?

(           )



 お笑い試験

 空欄を埋めよ。(10点満点)


(ま、こんな世の中だから笑わんとやっとれんわねぇ。それよりランチランチ。)


(こ、コンプライアンスが。ま、いいわランチランチ。)


(お種婆様、元気だなぁ。ま、いいわランチランチ。)


(こいつら、人間が腐ってる!あっ。お客様にこいつゆうてもうた。それよりランチランチ。)


(お種婆様、はやく死なないかなぁ。若者をはねたらどうすんのよ。若者には未来があるのに。いや。今はランチランチ。)【差別的ブラックユーモア、マイナス10点】


(お種婆様、はやく死なないかなぁ。若者をはねたらどうすんのよ。若者には未来があるのに。うちで一番元気や。長生きするわー。すごすぎる。あたしもがんばらないとね。ま、それはいいや。ランチランチ。)【差別的ブラックユーモア、0点】




 あんたはランチを食べたあと、歌いたくなってきた。だが、ギターが無い。黙々とコーヒー飲みながらスマホで歌詞を打ち込んで行った。


 ♪

 明日はあるぜ きっと

 明日はよいぜ もっと

 どんなに辛くても まえに進むんだぜ

 それが人生ってやつだろう


 進め 進め 兵隊さん

 国を守るために

 女房子供を守るために


 あ あんた独身でした

 低賃金すぎて結婚できない

 だから

 絵と文章と作曲を仕事にする

 書斎で やる

 コント撮影とバンド活動は

 余裕ができたら

 仲間集めて やる 趣味で



 明日はあるぜ きっと

 明日はよいぜ もっと

 どんなに辛くても まえに進むんだぜ

 それが人生ってやつだろう


 昨日きみは泣いていた

 昨日きみは怒っていた


 ふと、向こうの席を見ると、売れない漫才コンビ、ダブルクレイジーがテーブルを挟んで、コントの練習してる。スマホに夢中で気づかなかった。

 テーマは「警察と犯人」のようだ。唾をとばして一生懸命。きたない。

「お前がやったんだろ」

「ああ。おれがやった」

「なんでやった」

「やりたかったからだ」

「ほんとか?」

「ああ、ほんとだ」

「むぅ。それはうそだな」

「ギク」

「ほんとは世のため人のためだろ」

「うぅぅ」

「神様はだませても、お!はだませねえぞ!警察何十年やっとる思ってんねん」

「かっこ悪ぃだろ。おれは自分の幸せのためにやったんだ」

「いいかげんにしろ!世のため人のためにやったことはもうお見通しなんだ!」

「くそぅ」


 なんかつまらん。ま、爺様たちのやるコントなんざ、こんなもんだろうが。ふと、向こうの席を見ると、爺様婆様がお見合いっぽいことしてる。顔を赤らめてるのかしら。ふたりともモジモジかわいい。

「ご趣味は何ですか」

「はははっ。いや、恥ずかしながら、エロアニメを観ることです」

「立派なご趣味ですね!」

「とんでもない。眞知子さんは?」

「あたしですか? あたしのことは別にいいでしょう?」

「ま、そりゃそうですが、一応、社交辞令で」

「あたしは、国家参謀です」

「え」

「国家参謀が趣味です」

「ま、眞知子さん。失礼ながら、あなたのお仕事は」

「はい。隠してたわけではないですが、内閣府特命担当大臣補佐官です」

「ええええええ」

「町夫さん、あなたは」

「NASAで宇宙飛行士をやっています」

「はははっ冗談がお上手で」

「ほんとです」

「ムカッ。NASAに電話しますよ」

「えっ」

「ハロー。ペラペラペラペラ、おー、サンキュー」

「ほんとでしょう?」

「はい。疑ってごめんなさい」

「いえ、疑うのが普通です」

「ところで、ほんとのご趣味はなんですか」

「ホントも何もエロアニメです」



 ほんとつまらない。いや、ま、こっちは別にお笑いちゃうねんけど。ダブルクレイジーがまだコントの練習してる。

 医者と患者かしら。

「先生、ほんとのこと言ってください」

「どうしよっかなぁ」

「じらさないでください」

「ラーメン食べたいなぁ」

「おごります、おごりますから!」

「チャーハンも食べたいなぁ」

「わかりました!わかりました!」

「よし。言う。きみは余命1時間だ」

「ええっ、はやっ」

「あと、1時間だ。はやくラーメン店行くぞ。急げ」

「ええええええええ」


 つまらない。ムカついてきた。どうも二人とも、あんたと気持ちが同じのようで、腕を組んでうんうん唸ってる。

「もう一回やろう」「やり直しだ」

 医者と患者テイク2が始まった。

「先生。踊ってないで診てください。ぼくを。このぼくを!」

「うっさいなぁ。でも仕事だから仕方ない。あきらめよう。仕事じゃなかったら、殴ってるよ?」

「よかったー殴られなくて。イケメンだから。顔が商売道具です」

「うぜえなぁ。んで、どしたの」

「眠れないんです。仕事多すぎて、安すぎて」

「解雇されないだけましでは?」

「いや解雇されたいです。むしろ。ブラック企業なので」

「生活保護はムリだろ? 固定資産があるからな」

「そうなんです。次はホワイト企業に参加したいのですが」

「あんまりないよ。それより、絵と文章と作曲をだね」

「飽きました。コント撮影とバンド活動をしたいです!」

「でも、ソロとちがって、メンバーが必要だからなぁ」

「先生、加入してください」

「マラカスならできるよ」

「ええっマラカス!?」

「マラカスならまかせとけ」

「えええええ。マラカス、オンリー!??」


 あははははは。何度見てもやはりつまらん。向こうの席で、たけるとまるかが夫婦喧嘩してる。ふたりはこの店に珍しく、若い客で夫婦。要するにお種婆様んとこの。

「たけるちゃん浮気してるでしょ!」

「してねーし!」

「じゃあ、これなに」

 まるかが、たけるの描いたらしいイラストを見せてる。

「あっ。勝手に書斎入ったな」

「このキレイな女のひとは誰」

「イラストだろ!」

「モデルがいるんでしょ!」

「いねーよ」

 まるかが、イラストを破いてる。

「あっ!ばか!なにする!」

「たけるちゃんのばかばかばか」

 まるかわんわん泣く。たけるも泣く。

 たけるの母親、要するにお種婆様が登場。

「代車借りてきたよ〜。て、おい、お前らなにしとんや」

「母さんまるかが」

「お義母さん、たけるちゃんが」

 お種婆様が胸をどんと叩く。「まかせとけ」


 お種婆様がダンスする。


 このダンスシーンは、有名コメディアンにやってもらいたいね!


「ほえ〜」

「本格的ダンス!」


 ダブルクレイジーがまだやってる。しつこい。

 シュガー社員とパワハラ上司のようだ。

「もう低賃金いやです」

「ろくに働いてないくせに。週休7日にするぞ」

「ビートルズは週に8日愛してるぜって歌ってましたよ」

「うるせえ。てめえのせいで、こっちは週に7日勤務だ!!!!」

「法的にムリでは?」

「会社にナイショでやってんだよ」

「やめてくださいよ〜そのうち僕らまでやらされますよ〜」

「だったら、はやく仕事覚えろ」

「ぼく?仕事できますよ。天才ですから」

「幼稚園児みたいな仕事しとるくせに」

「毎日怒鳴られて、しんどいです」

「こっちのセリフだ。君とはやっとれんわ!」

「僕だって!ぜんぜん部下の気持ちわかってくれない」

「わかりたくもねえ!!!!」


 つまらない。どこかで聞いたような話だ。もういい。飽きた。

「ママ帰るよ」

「えっもう帰るの」

 ママの口癖だ。けっこう長居してたのに。

 あんたは喫茶店を出た。今日は心療内科だ。



 待合室。イヤホンで音楽を聴く。デリヤキツイスタンズだ。


いい世の中にしたいと叫ぶと

きみは すでにいい世の中じゃないかと

怒る

そうかもね でも

満足できへんぜ


結婚すらできない 低賃金すぎて

富裕層にとって中間層にとって

いい世の中なんだよ

貧困層には関係ねえ

貧困層には関係ねえ

貧困層は 常に

よい社会にしたいと願ってる

自殺者が多すぎる


政治家なんざ くそっくらえ

とんだ給料泥棒だ

○○総理なんか ほんとあかんわ

役に立たん

口ばっか なーんもせえへん

言うことは勇ましいが

実行力がねえ



だから あんたは

アートで世界を変える

アートで世界を変える

いや

変えてみせる

アーティストだからね

へい!



あんたたちは あんたたちだ

ボイン軍団じゃないぜ

君は そうさ ボインさ

でも 心はペチャパイ

でも ペチャパイも悪くないぜ

それが人生だから

へい!

あんたたちは誰だ

知るか 生きる

ここはどこだ

いちいち死んでる暇なんざねえ

日が昇る 日が沈む

幸せだ

そのうち月も昇って

笑ってる

きみの丸顔のようさ


I love you

そうだろ漱石



「これとこれ、歌詞はいまいちだが、コード進行とギターがいいなぁ……」


だめなものはだめなのさ

君はパイナップルだった

パイナップルな頭した女のコを見るとねえ


もう悲しくていやになる

君はフォックスだった

フォックスな目をした女のコを見るとねえ


へい!へい!へい!へい!

あんたは泣きたい気持ちをこらえた

君の名は円(まどか)だ

だから、お金が苦手になってしまった


ドルならいいのに

ドルならいいのに

ドルならいいのに


あんたたちボイン軍団 太っているぜ

どっちが尻でどっちが腹かわからん

夢と希望と脂肪がつまってる

そうさ あんたたちボイン軍団

イェーボイン軍団

いえいえいえ


月夜に光る 太っちょボディ

コウモリが飛んでた

まさにハロウィン

彼女はヴァンパイア やせてるぜ

押しつぶしそうでこわいから

ベッドから逃げたのさ


あんたたちボイン軍団

あんたたちボイン軍団

イェー

いえいえいえ





「これとこれは歌詞がいいな。曲はいまいちだ……」

 

「……さん、いらっしゃいますかー?」 

 いかん。アナウンスだ。音楽に夢中になってた。ドアをノック。

「どうぞ」

「失礼します」

 診察が始まった。美人の先生で、いつもドキドキする。心臓に悪い。この先生タレントで言うと……言わない。百年後の読者がわかんない。

「先生もう死にたいです。クスリ効果ないです」

「死ねば?」

「えええっ」

「可南子、はやくアニメ観たい」

「そんな、ぼく真剣なのに」

「帰っていい?」

「首吊するかもしれません」

「わかったから、帰っていい?」

「わかってません!先生ふざけてます!」

「可南子、怒るよ。いいかげんにしないと。今日、最終回なんだよ。わかってんの!?」

「えええええっ逆ギレ!???」

「パイくんが故郷に帰るんだよ」

「パイくんって誰ですか」

「もうダメね。アニメの主人公に決まってんじゃん。家きて一緒に観よう」

「えっ先生。仕事は」

「こんなくだらない仕事もういい。病気になる。可南子の家に行くよー。準備して」

「えええええっ勝手に決めてる!!!!!」


 というわけで、二人で心療内科を出た。メチャクサだ。ま、いっか。そんなもんだろ人生なんざ。

 外はなかなか涼しかった。夏だけど、風がある。

 夕暮れ。街がオレンジ色に染まる。先生の顔もオレンジ色に染まった。美しい。見とれてたら、先生がほれと腕を出すのだ。

 あんたと先生は腕を組んで歩いた。まるで恋人だよ。いやもはや恋人だ。いやちゃうか。先生には旦那さんがいる。では浮気か?そうでもない。あれはしてない。ん。ともかく医者と患者って感じではない。

「可南子楽しいな」

「えへへ、あんたも」

 明日へと!??


 後日、可南子先生の影響で、アニメ「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」の原作小説全4巻を駅前のアニメイトで購入。京都アニメーションから出てるため、一般の書店で取り扱いがない。

 美しいヒロイン、ヴァイオレットは両手が義手。秀逸なアイデア。絵になる。田舎で働くタイプライターだ。むかし、戦場で働く殺人マシーンだった。仮にロシア人殺すと叫ぶ少女がいたとして彼女をかつてのヴァイオレットにさせてはならない。京アニ放火事件の犯人にさせてはならない。愛することを思い出してほしい。そのためにあんたは少女を笑わせたい。ヴァイオレットのように心を取り戻して行ってほしいと思う。

 あんたは小説を書く。社会評論を書く。イラストを描く。ギターで作詞作曲する。そういったソロをがんばるのは当たり前だが、チームのことも考える。つまり。

 バンド活動とコント撮影を視野に入れてる。マンガもか。アシスタント雇用しないと週刊連載に耐えられまい。

 傷つけない笑い。心的外傷後ストレス障害に苦しむ少女を笑わせたい。

 無論、ワンパク少年も笑わせたい。こちらは傷つける笑い。ワンパク少年は抑圧され苦しんでる。笑いで解放させてあげたい。

 バンクシーは、爆撃でやられた廃墟に絵を描いた。ウクライナの少年が大きなオッサンを投げ飛ばす絵。プーチン大統領は柔道をやってる。

 筒井康隆は、恋人の親父の足をつかみ、尻に顔を当て「出せ!出すのだ!」と叫び、親父がブリブリする大便を食べる小説を書いた。



 加害者を殺したいのは、ウクライナの少女だけではない。テレビで記者会見見た。あんたはジャニー喜多川をゆるせない。彼は87歳で他界したが、多くの少年に性的虐待を加えた。

 でも、あんたはBL批判をしてる訳では無い。同性愛者批判でも無い。そこを誤解してるひとが多いようだ。愛のある同性愛。それに対して否定的では無い。むしろ肯定してる。差別なんかしとらん。もっといえば、ジャニーズ事務所所属のタレントを潰す意図もない。ファンが可哀想ではないか。

 あんたは、虐待を否定してるのである。あってはならぬことだ。鬼畜の所業であると新社長の東山が言ってた。あんたもそうだと思う。

だが、ショタコン自体は差別しとらん。虚構なら何でもありだと思ってる派だ。

 それに、小説や漫画で少年への性的欲望を解消し、現実生活では抑制する。むしろ少年に優しい。

 これは並大抵の努力でできることではなく、尊敬すらしてる。

 ではなぜこんなに怒ってる。

 あんたが若いとき、同性愛者のオッサンに性的虐待を加えられたことも原因のひとつである。いまだにクスリなしでは眠れない。不眠症がひどく、職場で倒れそうになったこともある。

 が、それだけが原因理由ではない。

 世の中の理不尽に腹を立ててるのだ。

 何なんだと。何でこうなるんだと。人間とは何だ?

 なぜ悪魔になれる。わからない。わからない。わからない。コンプライアンスなんて意味ないじゃないか。法令遵守が大切と言ったところで、法令を抜ける裏ワザを身につけ悪事を働くバカモノがいる。何のためのコンプライアンスだ。

 だから、そこを作品化してく。宮崎駿(82歳)の新作なんて凄い。世の理不尽を表現できてる。宮崎駿なりの手法で。

 あんたはあんたで、自身の心的外傷後ストレス障害を克服したい。小説イラストギター何でもいい。発信してく。また、心的外傷後ストレス障害に苦しむユーザーをすこしでも元気にさせたい。人間性を取り戻させたい。愛することを思い出させたい。憎悪や殺意なんざく そっくらえだ。また、ソロ活動だけでなく、チームの仕事も考えてる。バンド活動やコント撮影ですね。これは将来の夢。いま、資金を作るために、ソロをがんばってる。

無論、たまに社会評論やビジネス書なども書く。

 皆さんはどうお考えでしょうか???

ジャニー喜多川をゆるせない。だが、生きるのをあきらめてない。戦う意思を放棄してはいない。

 世の中はく そだ。だから、夢や希望が存在する。光はある。

 あんたは戦う。では、一曲。


とても苦しいよ たまに死にたい

とても悲しいよ たまに消えたい

だけどもね いまは

君の笑顔見たい

とても見たいんだよ

とても見たいんだよ


母さんいかないで

父さん帰ってきて


月はまた昇る とにかく昇る

だけども僕の心は暗闇をさまよう


だけどもね 今は

君の笑顔見たい

だからお願いだよ

君よ笑え


大好きだ


 最近やたら不愉快。同僚の、くそでぶばか大仏くん(以下、大仏)は、仕事できんくせに、態度がくそデカイ。イライラする。接客態度もサイテーだ。

 しかも、自分が好きな漫画を薦めるだけで、あんたの漫画を読まない。鬱陶しい。

 完全にキレた。

 あんたは、大仏を倉庫に呼び出した。

「なんだよ」

「お前、生意気だぜ」

「うっせえな」

「いいかげんにせえ!」

 あんたは大仏を(以下、コンプライアンスの関係から削除)


 削除かよ!!!!!

 削除には二面性がある。表現の抑圧とダイエット効果。長短あるのだ。うまく行けば、作品がスマートになって、モテる。下手こけば、出版禁止だ。

 窓の外を見ると、コウモリが飛んでゆく。

「あぁ。面白い奴らだなぁ。一生懸命飛んでらぁ。舌でも出してやがるのか。幸せのコウモリか……」





 あんたは仕方なくギターを構えた。どうにもならないとき、あんたはギターに癒してもらうのだ。中学生のとき作った曲を歌う。


夜になると かかしが踊るよ

おとぎ話の 星も踊るよ

田んぼに映る月がまぶしいので

僕らの流した涙も枯れちゃった

ああ 

田んぼの中で泳いじゃったよ

泥んこになりたいかのように泳いじゃった

夜のサンタクロースと

夜のかかしの

ジャンケン合戦

負けた方が家に帰る

僕らの恐怖体験

わ!わ!わ!わ!

夜のかかしは 立派なピカソ

夜のかかしは 立派なピカソ


「あっ、新曲もやろうっと!」

 あんたは調子出てきた。いつの間にか、大仏のことを忘れてる。



へい!

会社員 そこらの会社員よ

安い つまらん しんどい

と嘆く

芸術家になりたくないのかい?

儲かる オモロイ らくしょー

だろーよ


では Yeah(会社員よ へい!)

なぜ Yeah(やってる へい!)

世のため人のためだ

荒れる海原に船を出せ


たまに疲れたら

自分を休ませてあげなよ

心のアーティストになりなよ 会社員


たまに腐ったら

ひとを思いやって優しくなりな

心のサラリーマンになれよ 芸術家


資本主義は関係ない 本文と関係ない

資本主義は関係ない




おしまい(人生は容赦なく続く)



あるいは、次回作に続く(ある意味、終わってるが)

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