エピローグ 優等生は幸せに


 俺と小日向さんはあの日を境に、付き合うことになった。そのことをクラスメイトたちに教えると、すごく喜んでくれた。


「おめでとう!!」

「お前たち遅すぎるって!」


 後から聞いた話。クラスメイトたちはかなり俺たちが両片思いなのに付き合わないのを、ヤキモキしていたらしい。なんだか申し訳なくて謝ったら、「小日向さんを幸せにしてやれ!」って逆に喝を入れられてしまった。

 いいクラスメイトに恵まれたみたいだ。


「ねぇ、多田くん」

「どうしたの小日向さん?」

「夜ちゃん、まだ連絡つかない?」

「そうなんだよね」


 実は小日向さんが言うように、夜と一切連絡がつかないでいた。待ち合わせ場所に行っても来ないし、連絡しても出ないし……もしかすると夜は両親から逃げるために別の街に引っ越したかもしれない。


 ありがとうって言いたかった。夜が居たからこそ、俺は前に進めたのだ。


「(またいつか夜に会えるといいな)」


 彼女には感謝してもしきれない。










 あれからも俺と小日向さんは何十年も付き合い、結婚をし、子どもにも恵まれた。

 家族4人で今は生活をしている。


「いってきます!」

「いってらっしゃいアナタ」

「「パパいってらっしゃい!」」


 とても幸せだった。愛する奥さんと愛する息子と娘。

 今が1番幸せだった。


 父親の問題も解決したしな。


 俺が高校を卒業した時、就職し、父親と縁を切った。


 父親は何も言わなかった。ただ一言「そうか」っと言っただけだった。暴力を振るわれる覚悟で行ったが、割とあっさりしていたので覚えている。

 そうして父親との縁はあっさり切れた。


 それから20歳になったのを機に、小日向さん……真昼にプロポーズをして結婚したというわけだ。


……あれから一度も夜と会うことはなかった。もし俺の人生で後悔があるなら、彼女にお礼を言えなかったことだろう。

 


「……」



 今が幸せになれたのは夜のおかげだ。


 彼女が幸せに暮らしていることを、俺は祈っている。






「さてと、今日も仕事を頑張りますか!」






 end

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家から追い出された俺は、地雷系美少女に誘われて… 天春 丸。 @amaharu01

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